「ていうか、部活の写真撮るってことは、女バスにも来るってこと?」

「うん、今週の大会の写真、撮りに行く予定だよ。」

「神楽、お前どんくさいんだから、顔にボールあてたり、カメラにボールあてんじゃねえぞ」

「そんなことしないよ!そこまで運動音痴じゃないし!」

「映優、誰も運動音痴なんて言ってないよ。」

「あれ?」

笑ってくれる二人。

よかった、ちゃんと笑ってもらえた。

誰かの笑顔を見ると、安心できる。

ほっと息をついていると、英語の先生か「Hello,everyone!」と言いながら入ってきた。

ハローとかハワユ―とかみんなが口々に言いだす。

「モウソロソロ、ジュギョウ、ハジメマスヨ」

かたことの日本語で英語の先生がみんなに呼びかけると立っていたクラスメートたちが一斉に動き出して教室が静まり返る。

いつも道理のあいさつを済ませると、授業が始まった。

先生が例文を読んで、意味を生徒に答えさせる。

こういう時、予習しておいてよかったなと思う。

英語が苦手なわけじゃないけど、きっと、予習をしないと何も理解できないだろう。

私は、みんなみたいな頭はない。

人の2倍3倍やってやっとみんなと同じ場所に立てるんだ。

「|Please translate this sentence,Hayu.《映優さん、この文を訳してください。》」

「はい、ーーーーーーーーーーーです。」

「カンペキデスネ、サスガデス」

「Thank you.」

先生もクラスメートも、勉強のできる人として私を認識しているみたいだけどそんなことはない。

特に数学なんてひどい。

平均点ギリギリ。

ほかの教科はどうにかなるのに数学だけは解けない。

まったくもって、無理。


ふと視線をずらすと、栗本くん。

また、窓の外を見てる。

そういえば窓の外ばかり見てるのにすごく頭いいって聞いたことがあるような気もする。

羨ましいなぁなんて。

なんとなく、今日は授業に集中できない、というかしたくない。

勉強してる風に受けていよう。