「これ……」
一ページ目に、私の写真が貼られていた。
学校内で撮られたであろう、全力笑顔。
このたった一枚で、誰が机に入れたのかわかってしまった。
「盗撮写真?」
いきなり横から咲楽の声がして、私は体をビクつかせる。
なんとなく、咲楽には見られたくなくて、ノートを閉じた。
だけど、咲楽は文句を言わず、ニヤニヤと笑っている。
「……なに」
「別に?」
咲楽は珍しくご機嫌で、私の前の席に座った。
「続き、見ないの?」
促されて見るのは気が引けたけど、ノートの中身が気になって、私だけに見えるように開く。
一枚目と同じような、背景が学校の写真が次々と出てくる。
笑っていたり、真剣だったり。制服だったり、体操服だったり。
バスケ部に参加している写真まである。
めくればめくるほど、この中にいるのが私ではないような気がしてきた。
でもやっぱり、夏川先輩が撮る私のことは、好きだ。
というか、本当にいつの間に、こんなに撮っていたのだろう。
咲楽が言っていたことが否定できなくなると思うと、苦笑してしまう。
学校での写真が終わると、海での写真が貼られていた。
夏川先輩も写っている写真。
夏川先輩が撮った写真のアルバムだと思っていたから、急に夏川先輩が出てきて、驚いてしまった。
そういえば、夏川先輩が海で持っていたのは、私のカメラだった。
あの中にも、夏川先輩の写真が残っているんだった。
しばらく触っていないから、存在を忘れていた。
そんなことを思い出しながら、次のページを見ていく。
ボーリングをしていたり、ご飯を食べていたり。
学校の写真よりも枚数は少ないけど、自然な表情が多くなる。
『僕の世界には、君が必要だ』
もっと見たいと思ってめくったら、手書きでメッセージがあった。
ずっと写真だけでなにかを伝えようとしているのかと思っていたけど、違ったらしい。
夏川先輩の世界に、私が必要。
私が夏川先輩に対して思っていることと、似ている気がする。
私が夏川先輩に言いたくて言えないこと。
それを文字で伝えるなんて、夏川先輩らしい。
先輩らしいけど、なんか違う。
「依澄?」
私が立ち上がると、咲楽はスマホから視線を上げた。
「夏川先輩に会ってくる」
声を出して、自分が不機嫌であることを知る。
そのせいか、咲楽は悪い顔をする。
「お? 文句言いに行っちゃう感じだ?」
「だって、直接聞きたいから」
咲楽は一瞬固まって、それから優しく笑った。
「行ってらっしゃい」
咲楽に見送られ、私はノートを持って教室を飛び出した。
一ページ目に、私の写真が貼られていた。
学校内で撮られたであろう、全力笑顔。
このたった一枚で、誰が机に入れたのかわかってしまった。
「盗撮写真?」
いきなり横から咲楽の声がして、私は体をビクつかせる。
なんとなく、咲楽には見られたくなくて、ノートを閉じた。
だけど、咲楽は文句を言わず、ニヤニヤと笑っている。
「……なに」
「別に?」
咲楽は珍しくご機嫌で、私の前の席に座った。
「続き、見ないの?」
促されて見るのは気が引けたけど、ノートの中身が気になって、私だけに見えるように開く。
一枚目と同じような、背景が学校の写真が次々と出てくる。
笑っていたり、真剣だったり。制服だったり、体操服だったり。
バスケ部に参加している写真まである。
めくればめくるほど、この中にいるのが私ではないような気がしてきた。
でもやっぱり、夏川先輩が撮る私のことは、好きだ。
というか、本当にいつの間に、こんなに撮っていたのだろう。
咲楽が言っていたことが否定できなくなると思うと、苦笑してしまう。
学校での写真が終わると、海での写真が貼られていた。
夏川先輩も写っている写真。
夏川先輩が撮った写真のアルバムだと思っていたから、急に夏川先輩が出てきて、驚いてしまった。
そういえば、夏川先輩が海で持っていたのは、私のカメラだった。
あの中にも、夏川先輩の写真が残っているんだった。
しばらく触っていないから、存在を忘れていた。
そんなことを思い出しながら、次のページを見ていく。
ボーリングをしていたり、ご飯を食べていたり。
学校の写真よりも枚数は少ないけど、自然な表情が多くなる。
『僕の世界には、君が必要だ』
もっと見たいと思ってめくったら、手書きでメッセージがあった。
ずっと写真だけでなにかを伝えようとしているのかと思っていたけど、違ったらしい。
夏川先輩の世界に、私が必要。
私が夏川先輩に対して思っていることと、似ている気がする。
私が夏川先輩に言いたくて言えないこと。
それを文字で伝えるなんて、夏川先輩らしい。
先輩らしいけど、なんか違う。
「依澄?」
私が立ち上がると、咲楽はスマホから視線を上げた。
「夏川先輩に会ってくる」
声を出して、自分が不機嫌であることを知る。
そのせいか、咲楽は悪い顔をする。
「お? 文句言いに行っちゃう感じだ?」
「だって、直接聞きたいから」
咲楽は一瞬固まって、それから優しく笑った。
「行ってらっしゃい」
咲楽に見送られ、私はノートを持って教室を飛び出した。