しかし、運命という言葉が数々の漫画やアニメでその後の展開を予想だにしないものにするように、私たちの関係も例外ではなかった。
高校三年生になると、今までよりもいっそう勉強やテストへの意識が膨らんでいった。私は、一回のテストでうまくいかないと常にストレスが溜まり、ダメとは分かっているのに彼に八つ当たりするようになってしまった。しかもそういう時に限って彼はテストでいい点数をとっている。どう考えても自分の方が頑張っているのに——という独りよがりの嫉妬が、私の精神を蝕んでいく。
「今回も最悪だった。いいよね、陸くんは頭がよくて」
「……そんなことねーって」
私は京都の国立大学を狙っていて、彼は東京の国立大学を目指していた。
そうだ、頑張って第一志望の大学に合格したところで私たちは離れ離れじゃないか。
かつてはそんなことすらも障害にならないと思えるくらい、ただ彼のことが好きな気持ちでいっぱいだったのに、成績が振るわなくなるとつい悪い方向へと思考が持っていかれる。
「ごめん、今日は先に帰るね」
いつもこうだ。
彼が何か気に障る発言をしたわけでもないのに、私の方が勝手に機嫌が悪くなって口を利くのが辛くなる。頭の回転が速く要領がいい彼に、私は深く嫉妬していた。私は、思考が遅いので人の三倍くらい勉強してようやく人並みになれると思っていたから。いろんなものを我慢して時間ばかり勉強に費やして、それで納得のいく結果が得られないことに終始落ち込んでいたのだ。

今考えると、どうして彼に八つ当たりしてしまったんだろうって思う。それも一度ではなく何度もやってしまった。受験生という状況でストレスが溜まっていたのは仕方ないにしろ、もう少し言い方があったんじゃないか。たとえ翌日になって彼に一生懸命謝ったところで、一度吐き出してしまった言葉はもう飲み込むことなんてできないのに。
後悔したって遅い。
だって、彼は高校三年生の夏に、私に別れを告げてきたのだから。

三年生は予想に反して同じクラスになった。先生たちが私たちの願いを知って同じにしてくれたらしい。クラス発表の時、嬉しくて残り一年の高校生活がまた楽しいものになりそうだと期待した。テストの前後以外は、私の精神が落ち込むことはあまりなくて、いつも通り彼のことが好きな自分に戻っていた。
それがなぜ、あんなことになってしまったのか。