※
数日後。
私は背の高い男と向き合っていた。
こうも大胆に私を見据えてくる不遜な人間は、これ以前もこの先もいないだろう。
「こら草輔(そうすけ)……! 透冴様をそんな正面から睨んで……!」
「姉ちゃんはこんな優男がいいのか」
「やさ……! 透冴様は立派な神様よ!」
「ぷくくく」
私は表情を変えずにいたが、横で笑いを堪えている燿興には射るような視線を送った。
私は弟――草輔を湖底に招くことにした。
地上に行くことを許したものの、そうなっても遠慮して行こうとしないのが鼓水という少女だ。
ならば、とこうして草輔を湖底に呼ぶことにしたのだ。
鼓水の弟と言うことはつまり私の義弟ということ。
一度くらいは屋敷に招いて親睦を深めてやるのも務めだろう――と気を遣ったのは良いが、
「おい龍神」
そんな私に微塵も感謝の意を示さず、草輔は逆にふてぶてしい態度で挑むように私を睨みつけた。
「おまえ、本当に姉ちゃんを幸せにする自信があるんだな」
数日後。
私は背の高い男と向き合っていた。
こうも大胆に私を見据えてくる不遜な人間は、これ以前もこの先もいないだろう。
「こら草輔(そうすけ)……! 透冴様をそんな正面から睨んで……!」
「姉ちゃんはこんな優男がいいのか」
「やさ……! 透冴様は立派な神様よ!」
「ぷくくく」
私は表情を変えずにいたが、横で笑いを堪えている燿興には射るような視線を送った。
私は弟――草輔を湖底に招くことにした。
地上に行くことを許したものの、そうなっても遠慮して行こうとしないのが鼓水という少女だ。
ならば、とこうして草輔を湖底に呼ぶことにしたのだ。
鼓水の弟と言うことはつまり私の義弟ということ。
一度くらいは屋敷に招いて親睦を深めてやるのも務めだろう――と気を遣ったのは良いが、
「おい龍神」
そんな私に微塵も感謝の意を示さず、草輔は逆にふてぶてしい態度で挑むように私を睨みつけた。
「おまえ、本当に姉ちゃんを幸せにする自信があるんだな」