鈴音のような愛らしい声が漏れて、柔らかい睫毛が揺れた。

黒々と艶光る瞳が現れる。
どの人間よりも瑞々しい精気と清らかさを放ったそれは、寝惚け眼であっても宝石のように綺麗で、私の心は甘い疼きを覚える……。

「わ、私ったらこんなところで転寝を……!」 

飛び起きた鼓水に、私は笑みを向けた。

「すまぬ、起こしてしまったな。せっかく気持ちよさそうに寝入っていたのに」

鼓水は顔を真っ赤にして慌てふためいた。

「も、申し訳ありません! 今日は天気が良くてつい!」
「疲れているのではないか? 何度も言っているが、家事などしなくていいのだぞ?」
「いいえ。離れていた二年間、私は透冴様に尽くしたいと心の底から望んでいました。こうして願いが叶った今は、とても幸せなのです」

と、無邪気に笑う。