脅かすように囁いて、物言いたげに微かに開く唇に自らのそれを押し当てた。

甘い。

裏切りの苦さを知った今でさえ、鼓水の唇は変わらず魅惑の味がする。

重ねるごとに甘みを増し、私の意識を麻痺させ、言い表し難い熱い昂りを呼び起こさせる。

もっと、もっと――。

それは強欲へと変わり、私は飢えたように鼓水の口内を我が舌でもって蹂躙し、余すところなくむさぼる。

「ん…っ……ふ」

息を求めて鼓水が弱い抵抗を見せる。
膝が崩れ、押し倒されるように鼓水は私の腕に抱かれたまま仰臥した。

呻くように私は囁いた。

「思い出したか。おまえは私の妻だ。どれほど後悔しても、私から離れることは許さない」

悲しげに潤んだ瞳にさえ、たまらない愛しさを覚える。