「弁明のしようもありません。透冴様のお許しもなく湖上に連れて行ってもらったのは私の意思です」

深く項垂れながらも、鼓水のその声は覚悟を決めたかのように凛としていた。

「ですが……燿興様は私のわがままを仕方なくきいてくださっただけなのです。どうかあの方はお許しください……私はどう処罰されても構いませんから……」
「そんなことはどうでもいい」

健気な鼓水の言葉も、今の私にはなんの感動も与えなかった。
鼓水を湖上に上げる技など燿興ぐらいにしかできないのは解かっていた。
重要なのは、燿興と鼓水が私を裏切ったことなどではないのだ。

「……所詮は、人間同士がいいのか……」
「え……?」
「口でどう言い繕っても、地上が恋しいのだろう?」
「そんなことは――きゃっ」

私は鼓水を強引に引き寄せ、その小さな顎を指で掴んだ。

「おまえが私に何を誓ったか、思いださせてやろう」