忍坂姫は皇子の宮に戻るなり、その鏡をジーと見ていた。
「やっぱり鏡に映っていたのは、本当の事だったのね。でもそれなら最初に見た時に映っていたのは一体誰だったんだろう?」
彼女がそんな事を思っていると、いきなり「忍坂姫?」と言われて誰かが部屋の中に入って来た。
彼女がふと振り向くと、そこには雄朝津間皇子が立っていた。どうやら今回の七支刀の剣の処理が終わって、宮に戻って来たようだ。
「あら、雄朝津間皇子だったんですね。急に入ってくるからびっくりしたじゃないですか」
彼女にそう言われて、皇子は少しクスッと笑った。
「君がそれを俺に言うか。昨日の君なんてもっと酷かったじゃないか」
それは昨日忍坂姫が、雄朝津間皇子の部屋に突然押しかけて来た件の事だろう。
それを言われると、忍坂姫も中々言い返せなかった。
そう言って彼は部屋に入ってくるなり、忍坂姫の前までやってきて、その場に座った。
「とりあえず、七支刀の件の礼を言おうと思ってね。忍坂姫、本当に今回は助かったよ」
皇子は真っ直ぐに彼女を見つめて言った。
そんな彼に見つめられてどうして良いか分からず、彼女は少し下を向いた。
「いいえ、そんな事。私も物部伊莒弗の誤解が解けて本当に良かったと思います」
そんな忍坂姫を見て、彼はふと笑みをこぼした。
「とりあえず、これで君に貸しが出来てしまったよ」
雄朝津間皇子はそう彼女に言った。
忍坂姫が思うに、これは自分と言うよりも、この鏡のおかけだ。だがそんな事を話しても信じては貰えないだろう。
「べ、別に貸しなんて良いですよ。私がただ好きで動いただけなので」
だが今回は忍坂姫の大胆な行動があったからこそ、剣も見つかり、物部伊莒弗の無実も無事証明する事が出来た。
皇子がそう思った時だった、彼はふとある事を思い出した。
「そう言えば、自分の言う事を聞いてくれたら何でもするって言ってたっけ?」
それを言われた忍坂姫は思わずビクッとした。あの時は本当に必死で、後先なんて全く考えていなかったのだ。
(あぁ、やっぱり皇子はその事は見逃してくれないのね)
すると彼は「どうしようかな~」といってふと何やら考え出した。
(雄朝津間皇子が自分に望んでいる事……やっぱり婚姻の解消かしら。でも大王からの指示もあるし、ここで取り止めには出来ないだろう)
それからしばらくして、皇子は何かを閃いたようだ。
「昨日いきなり、俺の部屋に飛び込んで来た訳だし、その続きをやるってのはどうだ」
(はい!?)
忍坂姫は彼から言われた事の意味が、いまいち理解出来ない。
そんな彼女の思考をよそに、皇子はいきなり距離を近付けてきた。
忍坂姫がハッと我に返ると、彼女の目の前には皇子の顔があった。
そんな皇子の顔を見た瞬間、前に鏡に映っていた青年と、皇子の顔が被って見えた。
あの鏡に映っていたのは、もしかすると雄朝津間皇子だったのだろうか。
そんなふうに思った忍坂姫は、思わず雄朝津間皇子の顔を見つめた。
そんな彼女を見て皇子は不思議に思った。
(うん?どうして何も抵抗してこないんだ)
雄朝津間皇子は、思わずそんな忍坂姫の目に引き寄せられた。
彼女はとても意思のある強い目をしている。
すると、そんな彼女に引き寄せられるかのようにして、思わず彼女に口付けた。
すると忍坂姫は「ハッ」と我に返った。
「い、嫌ー!!!」
そう彼女は叫んで、皇子を思いっきり突き放した。
雄朝津間皇子もまさかそこまで抵抗されるとは思ってなかったので、力が入らずそのまま後ろに簡単に飛ばされてしまった。
「やっぱり鏡に映っていたのは、本当の事だったのね。でもそれなら最初に見た時に映っていたのは一体誰だったんだろう?」
彼女がそんな事を思っていると、いきなり「忍坂姫?」と言われて誰かが部屋の中に入って来た。
彼女がふと振り向くと、そこには雄朝津間皇子が立っていた。どうやら今回の七支刀の剣の処理が終わって、宮に戻って来たようだ。
「あら、雄朝津間皇子だったんですね。急に入ってくるからびっくりしたじゃないですか」
彼女にそう言われて、皇子は少しクスッと笑った。
「君がそれを俺に言うか。昨日の君なんてもっと酷かったじゃないか」
それは昨日忍坂姫が、雄朝津間皇子の部屋に突然押しかけて来た件の事だろう。
それを言われると、忍坂姫も中々言い返せなかった。
そう言って彼は部屋に入ってくるなり、忍坂姫の前までやってきて、その場に座った。
「とりあえず、七支刀の件の礼を言おうと思ってね。忍坂姫、本当に今回は助かったよ」
皇子は真っ直ぐに彼女を見つめて言った。
そんな彼に見つめられてどうして良いか分からず、彼女は少し下を向いた。
「いいえ、そんな事。私も物部伊莒弗の誤解が解けて本当に良かったと思います」
そんな忍坂姫を見て、彼はふと笑みをこぼした。
「とりあえず、これで君に貸しが出来てしまったよ」
雄朝津間皇子はそう彼女に言った。
忍坂姫が思うに、これは自分と言うよりも、この鏡のおかけだ。だがそんな事を話しても信じては貰えないだろう。
「べ、別に貸しなんて良いですよ。私がただ好きで動いただけなので」
だが今回は忍坂姫の大胆な行動があったからこそ、剣も見つかり、物部伊莒弗の無実も無事証明する事が出来た。
皇子がそう思った時だった、彼はふとある事を思い出した。
「そう言えば、自分の言う事を聞いてくれたら何でもするって言ってたっけ?」
それを言われた忍坂姫は思わずビクッとした。あの時は本当に必死で、後先なんて全く考えていなかったのだ。
(あぁ、やっぱり皇子はその事は見逃してくれないのね)
すると彼は「どうしようかな~」といってふと何やら考え出した。
(雄朝津間皇子が自分に望んでいる事……やっぱり婚姻の解消かしら。でも大王からの指示もあるし、ここで取り止めには出来ないだろう)
それからしばらくして、皇子は何かを閃いたようだ。
「昨日いきなり、俺の部屋に飛び込んで来た訳だし、その続きをやるってのはどうだ」
(はい!?)
忍坂姫は彼から言われた事の意味が、いまいち理解出来ない。
そんな彼女の思考をよそに、皇子はいきなり距離を近付けてきた。
忍坂姫がハッと我に返ると、彼女の目の前には皇子の顔があった。
そんな皇子の顔を見た瞬間、前に鏡に映っていた青年と、皇子の顔が被って見えた。
あの鏡に映っていたのは、もしかすると雄朝津間皇子だったのだろうか。
そんなふうに思った忍坂姫は、思わず雄朝津間皇子の顔を見つめた。
そんな彼女を見て皇子は不思議に思った。
(うん?どうして何も抵抗してこないんだ)
雄朝津間皇子は、思わずそんな忍坂姫の目に引き寄せられた。
彼女はとても意思のある強い目をしている。
すると、そんな彼女に引き寄せられるかのようにして、思わず彼女に口付けた。
すると忍坂姫は「ハッ」と我に返った。
「い、嫌ー!!!」
そう彼女は叫んで、皇子を思いっきり突き放した。
雄朝津間皇子もまさかそこまで抵抗されるとは思ってなかったので、力が入らずそのまま後ろに簡単に飛ばされてしまった。