「そっか、君が市辺皇子なのね」
忍坂姫は思わず市辺皇子の頭を撫でてやった。すると皇子はとても嬉しそうにしていた。
「お姉ちゃんは、今何してるの?」
市辺皇子はとにかく彼女の事が気になって仕方ないようだ。
「お姉ちゃんはね、先日ここに来たばかりだから、ちょっとこの宮の中を歩いてみようと思ったの」
それを聞いた市辺皇子は、ふと思い付いたようにして彼女に言った。
「じゃあ、僕が宮の中を案内してあげる。僕ここの事色々知ってるんだ」
市辺皇子は凄い自慢げにして言った。
そんな皇子を見て、忍坂姫もこの子に任せてみようかと思った。
「分かったわ。じゃあ皇子にお願いしようかな」
それを聞いた市辺皇子は凄い目をキラキラさせた。
それから「じゃあ行こう!」と言って彼女の手を握って宮内を歩きだした。
忍坂姫と市辺皇子は、それから宮内をあちらこちらと歩いて回った。
その際に皇子は「あれは倉庫でね、あっちは色々な物が置いてあってね」と言った感じであれこれ説明してくれた。
(本当に可愛い皇子様ね。私も将来こんな男の子が欲しいな)
先の大王である、去来穂別大王やその妃である黒媛も、この皇子をとても可愛がっていたんだろうなと彼女は思った。
それなのにこんな可愛い皇子を残して死んでしまうとは、本当に運命は皮肉なものだと思った。
彼女が市辺皇子と歩いて回ってる丁度その時だった。
雄朝津間皇子が村の見回りから戻って来ていた。
彼が宮に戻ると、偶然1人の使用人の女性が酷く慌てているのが目に入った。
「おい、一体どうしたんだ?」
雄朝津間皇子を見つけた使用人の女性は、慌てて皇子の元へとやって来た。
「雄朝津間皇子、それが私がちょっと目を離した隙に、市辺皇子がどこかに行ってしまわれまして……」
女は酷く怯えながら皇子に話した。もし市辺皇子が本当にいなくなったとなれば、それは大問題である。
「まぁ、あいつの事だから、どこかに隠れて遊んでるだけだと思うけど」
仕方ないので彼も一緒に市辺皇子を探す事にした。
(ったく、本当にあいつはどこに行ったんだ。)
雄朝津間皇子が必死で探していると、急に男の子の笑い声が聞こえて来た。
(何だ、やっぱりいるじゃないか)
皇子はその声のする方へ行ってみた。すると市辺皇子は忍坂姫と楽しくお喋りをしていた。
忍坂姫も笑顔で市辺皇子との対話を楽しんでいるようだった。
「おい、市辺。探したぞ」
忍坂姫はその声にハッとなり、声のする方へ目を向けた。
そこには雄朝津間皇子が立っていた。
「あ、叔父上だ」
市辺皇子は雄朝津間皇子に向けて、思わず手を振った。
(あれ、皇子宮に戻って来てたんだ)
「雄朝津間皇子、戻られてたんですね」
雄朝津間皇子は2人を見るなり、側に近づいてきた。市辺皇子も雄朝津間皇子が来たのでとても愉快そうに笑っていた。
「さっき向こうで、使用人の女が市辺皇子がいなくなったと騒いでいたよ」
それを聞いた忍坂姫は「しまった!」と思った。こんな小さい男の子がいなくなれば、周りが慌てるのは当たり前だ。
「ご、ごめんなさい!私ったらつい……」
市辺皇子は忍坂姫の手を握ったまま、どうしたの?って感じで彼女を見ていた。
忍坂姫は思わず市辺皇子の頭を撫でてやった。すると皇子はとても嬉しそうにしていた。
「お姉ちゃんは、今何してるの?」
市辺皇子はとにかく彼女の事が気になって仕方ないようだ。
「お姉ちゃんはね、先日ここに来たばかりだから、ちょっとこの宮の中を歩いてみようと思ったの」
それを聞いた市辺皇子は、ふと思い付いたようにして彼女に言った。
「じゃあ、僕が宮の中を案内してあげる。僕ここの事色々知ってるんだ」
市辺皇子は凄い自慢げにして言った。
そんな皇子を見て、忍坂姫もこの子に任せてみようかと思った。
「分かったわ。じゃあ皇子にお願いしようかな」
それを聞いた市辺皇子は凄い目をキラキラさせた。
それから「じゃあ行こう!」と言って彼女の手を握って宮内を歩きだした。
忍坂姫と市辺皇子は、それから宮内をあちらこちらと歩いて回った。
その際に皇子は「あれは倉庫でね、あっちは色々な物が置いてあってね」と言った感じであれこれ説明してくれた。
(本当に可愛い皇子様ね。私も将来こんな男の子が欲しいな)
先の大王である、去来穂別大王やその妃である黒媛も、この皇子をとても可愛がっていたんだろうなと彼女は思った。
それなのにこんな可愛い皇子を残して死んでしまうとは、本当に運命は皮肉なものだと思った。
彼女が市辺皇子と歩いて回ってる丁度その時だった。
雄朝津間皇子が村の見回りから戻って来ていた。
彼が宮に戻ると、偶然1人の使用人の女性が酷く慌てているのが目に入った。
「おい、一体どうしたんだ?」
雄朝津間皇子を見つけた使用人の女性は、慌てて皇子の元へとやって来た。
「雄朝津間皇子、それが私がちょっと目を離した隙に、市辺皇子がどこかに行ってしまわれまして……」
女は酷く怯えながら皇子に話した。もし市辺皇子が本当にいなくなったとなれば、それは大問題である。
「まぁ、あいつの事だから、どこかに隠れて遊んでるだけだと思うけど」
仕方ないので彼も一緒に市辺皇子を探す事にした。
(ったく、本当にあいつはどこに行ったんだ。)
雄朝津間皇子が必死で探していると、急に男の子の笑い声が聞こえて来た。
(何だ、やっぱりいるじゃないか)
皇子はその声のする方へ行ってみた。すると市辺皇子は忍坂姫と楽しくお喋りをしていた。
忍坂姫も笑顔で市辺皇子との対話を楽しんでいるようだった。
「おい、市辺。探したぞ」
忍坂姫はその声にハッとなり、声のする方へ目を向けた。
そこには雄朝津間皇子が立っていた。
「あ、叔父上だ」
市辺皇子は雄朝津間皇子に向けて、思わず手を振った。
(あれ、皇子宮に戻って来てたんだ)
「雄朝津間皇子、戻られてたんですね」
雄朝津間皇子は2人を見るなり、側に近づいてきた。市辺皇子も雄朝津間皇子が来たのでとても愉快そうに笑っていた。
「さっき向こうで、使用人の女が市辺皇子がいなくなったと騒いでいたよ」
それを聞いた忍坂姫は「しまった!」と思った。こんな小さい男の子がいなくなれば、周りが慌てるのは当たり前だ。
「ご、ごめんなさい!私ったらつい……」
市辺皇子は忍坂姫の手を握ったまま、どうしたの?って感じで彼女を見ていた。