その頃、瑞歯別皇子は自分の宮にいた。
(自分は一体なんて事をしてしまったんだ。佐由良をあんな風に手放してしまうなんて)
「はぁー本当に自己嫌悪だ……」
瑞歯別皇子はただひたすら後悔していた。
「まぁ、物部伊莒弗の元にいるのであれば安心だが」
「何が安心だですか、皇子」
瑞歯別皇子が振り返ると、そこには稚田彦が立っていた。
「稚田彦、来ていたのか」
稚田彦は皇子の前までやって来た。
「自業自得ですよ。皇子らしくもない。佐由良の事が好きだったのでしょう」
「お前、気付いていたのか?」
稚田彦は思わず「はぁー」と嘆いた。
「そんなの横で見ていればバレバレですよ皇子」
(そう言うものなのか?)
「元々の原因は、皇子がちゃんと佐由良に自分の気持ちを打ち上げなかったのが悪いんでしょうが」
「何、自分の気持ちだと」
(そうだった。確かに俺は一度もあいつに気持を言ってなかった……)
「もう一度、佐由良と向き合ってみたらどうですか」
「佐由良と向き合う?」
「そうです。彼女が急に皇子から離れようとしたのは、きっと何か理由があったに違いありません」
「それはそうかも知れないが。だが俺がその事を聞いても、あいつは教えてくれなかったんだぞ」
(その為に、俺がどんな思いをしたか)
「皇子。だからこそ、ちゃんと自分の気持ちを伝えるべきなんです。何事もちゃんと言葉にしないと相手には伝わりませんよ」
(ちゃんと言葉にしないと伝わらない……)
「確かに。稚田彦、お前の言う通りだ。俺は佐由良にちゃんと気持を伝えて無かった」
それを聞いた稚多彦は、「はぁー」とまたため息を付いた。
「ちなみに皇子、急がないと手遅れになりますよ」
(何、手遅れだと?)
「雄朝津間皇子が佐由良を后として譲って欲しいと言う話し、皇子がやけくそ半分で了承しましたからね。佐由良自身がどう思ったかは分かりませんが、大王もこの件は反対されませんでした。なので大王がこの話しをもし進められていたら厄介です」
「な、何だって!」
瑞歯別皇子は思わずその場で大声で叫んだ。もしそれが本当なら、早く何とかしないと取り返しがつかなくなる。
「皇子、だから自業自得って言ってるんです」
「それはそうだが……」
「とにかく大王の方も気になりますが、自分の気持を整理して、まずは彼女にちゃんと気持を伝えて下さい」
「あぁ、相手が雄朝津間皇子だろうが、他の奴だろうが、あいつを誰にも渡す訳にはいかない」
そして彼は部屋を出ていった。
そんな王子を見て、稚田彦は言った。
「ふぅー、やれやれ。世話のかかる主だ」
(自分は一体なんて事をしてしまったんだ。佐由良をあんな風に手放してしまうなんて)
「はぁー本当に自己嫌悪だ……」
瑞歯別皇子はただひたすら後悔していた。
「まぁ、物部伊莒弗の元にいるのであれば安心だが」
「何が安心だですか、皇子」
瑞歯別皇子が振り返ると、そこには稚田彦が立っていた。
「稚田彦、来ていたのか」
稚田彦は皇子の前までやって来た。
「自業自得ですよ。皇子らしくもない。佐由良の事が好きだったのでしょう」
「お前、気付いていたのか?」
稚田彦は思わず「はぁー」と嘆いた。
「そんなの横で見ていればバレバレですよ皇子」
(そう言うものなのか?)
「元々の原因は、皇子がちゃんと佐由良に自分の気持ちを打ち上げなかったのが悪いんでしょうが」
「何、自分の気持ちだと」
(そうだった。確かに俺は一度もあいつに気持を言ってなかった……)
「もう一度、佐由良と向き合ってみたらどうですか」
「佐由良と向き合う?」
「そうです。彼女が急に皇子から離れようとしたのは、きっと何か理由があったに違いありません」
「それはそうかも知れないが。だが俺がその事を聞いても、あいつは教えてくれなかったんだぞ」
(その為に、俺がどんな思いをしたか)
「皇子。だからこそ、ちゃんと自分の気持ちを伝えるべきなんです。何事もちゃんと言葉にしないと相手には伝わりませんよ」
(ちゃんと言葉にしないと伝わらない……)
「確かに。稚田彦、お前の言う通りだ。俺は佐由良にちゃんと気持を伝えて無かった」
それを聞いた稚多彦は、「はぁー」とまたため息を付いた。
「ちなみに皇子、急がないと手遅れになりますよ」
(何、手遅れだと?)
「雄朝津間皇子が佐由良を后として譲って欲しいと言う話し、皇子がやけくそ半分で了承しましたからね。佐由良自身がどう思ったかは分かりませんが、大王もこの件は反対されませんでした。なので大王がこの話しをもし進められていたら厄介です」
「な、何だって!」
瑞歯別皇子は思わずその場で大声で叫んだ。もしそれが本当なら、早く何とかしないと取り返しがつかなくなる。
「皇子、だから自業自得って言ってるんです」
「それはそうだが……」
「とにかく大王の方も気になりますが、自分の気持を整理して、まずは彼女にちゃんと気持を伝えて下さい」
「あぁ、相手が雄朝津間皇子だろうが、他の奴だろうが、あいつを誰にも渡す訳にはいかない」
そして彼は部屋を出ていった。
そんな王子を見て、稚田彦は言った。
「ふぅー、やれやれ。世話のかかる主だ」