雄朝津間皇子(おあさづまのおうじ)、本当にごめんなさい)

 彼女がそう思った時だった。 

 ここに来てまた不思議な光景が現れた。

(ここはどこかの丘の上かしら?あ、ここは住吉仲皇子のいた宮のそばにあった丘だわ。誰かが自分に向かって来ている?あれは瑞歯別皇子(みずはわけのおうじ)!)

 そこでこの不思議な光景か終わった。

「今のは何だったの。もしかして今のって」
 
 それから急いで佐由良は伊莒弗(いこふつ)の元に走った。

「お父様ー!」

「佐由良、一体どうしたんだ」

「お父様、急で済みません。今から私が以前仕えていた住吉仲皇子(すみのえのなかつおおきみ)の宮のそばにあった、丘の上に行きたいんです!」

「何故急にそんな所に?」

 伊莒弗は不思議そうに首を傾げた。

「また不思議な光景を見たんです。きっとあそこに行けば瑞歯別皇子に会えます!」

「佐由良、それは本当か?」

「はい、そうだと思います」

 それを聞いた伊莒弗は、彼女言う事はきっと本当なのだろうと思った。であれば、急いでその丘に向かった方が良さそうだ。

「分かった急いで馬を走らせよう。お前も確か馬に乗れたな」

 こうして佐由良と伊莒弗は急いでその丘の上に向かった。