こうして佐由良が伊莒弗の元に預けられてから、1週間が立っていた。
「佐由良姉さま〜!!」
「こら、姉さまは僕と遊ぶんだぞ!」
佐由良は伊莒弗の元に来て、初めて彼の子供達と対面した。
2人とも男の子で、兄の目は8歳で、弟の布都久留は6歳になっていた。
2人ともいきなり父親の伊莒弗から佐由良を紹介されたが、特に不信に思う事も全く無かった。むしろ新しい姉が出来た事に喜び、今ではすっかり佐由良に懐いてしまっていた。
ただそんな状況下でも佐由良自身、いつまでもここに居る訳にはいかず、瑞歯別皇子との面会を希望した。だが皇子は佐由良との面会を頑なに拒んでいた。
そして佐由良が2人の義理の弟達の相手をしている所へ、伊莒弗がやって来た。
「こらお前達、姉さまに話しがあるから、向こうで遊んでなさい」
2人の兄弟は「はぁーい!」と言って、どこかに遊びに行ってしまった。
「佐由良、今回はとんだ災難にあったな。瑞歯別皇子はかなりご立腹のようだ。雄朝津間皇子との話にも応じてないらしい」
そんな話しを聞いても、彼女はなんの表情も変えなかった。
「もう良いんです。元々私の方から皇子と離れようとしていたので。皇子はいずれ他の皇族か有力な豪族の姫を娶らないといけない人でしたから」
「お前は皇子の事を好いていたのだな」
佐由良は思わず刻々と頷いた。
「佐由良、前にも話したが。私は自分自身の為に麻日売を諦めた。きっと麻日売も今のお前と同じように、とても苦しんだはずさ。だからお前にも麻日売と同じような思いはさせたくない」
(お父様……)
「それに、皇子はお前の気持ちは知らないんだろ」
「でも私は采女の立場で有りますし」
彼女は悲しそうに俯いた。
「佐由良、お前だって妃になれない事は無いんだぞ。私のいる物部と吉備の血を引く娘なんだから」
「あの人はご自身の立場をとても良く理解されています。であれば、同じ皇族の姫かもっと他の力のある豪族の姫を妃にしたいはずです」
(それに皇子には他に女性が……あの宴で一緒にいられると言う事は、きっと皇族の姫なんだわ)
「それだって、皇子から直接聞いた訳では無いのだろ」
彼女は思わず口を閉ざしてしまった。
「佐由良、ではもっと素直になりなさい。お前にだって幸せになる権利がある。亡くなった麻日売の為にも。皇子としっかりと向き合ってみるんだ。それでも皇子に拒まれるようなら、その時はここで私と一緒に暮らしたら良いさ」
佐由良は伊莒弗の言葉を聞いて思わず勇気が湧いて来た。
「分かりました、お父様。私やれるだけの事をやってみます!」
「あぁ、それでこそ私の娘だ」
「佐由良姉さま〜!!」
「こら、姉さまは僕と遊ぶんだぞ!」
佐由良は伊莒弗の元に来て、初めて彼の子供達と対面した。
2人とも男の子で、兄の目は8歳で、弟の布都久留は6歳になっていた。
2人ともいきなり父親の伊莒弗から佐由良を紹介されたが、特に不信に思う事も全く無かった。むしろ新しい姉が出来た事に喜び、今ではすっかり佐由良に懐いてしまっていた。
ただそんな状況下でも佐由良自身、いつまでもここに居る訳にはいかず、瑞歯別皇子との面会を希望した。だが皇子は佐由良との面会を頑なに拒んでいた。
そして佐由良が2人の義理の弟達の相手をしている所へ、伊莒弗がやって来た。
「こらお前達、姉さまに話しがあるから、向こうで遊んでなさい」
2人の兄弟は「はぁーい!」と言って、どこかに遊びに行ってしまった。
「佐由良、今回はとんだ災難にあったな。瑞歯別皇子はかなりご立腹のようだ。雄朝津間皇子との話にも応じてないらしい」
そんな話しを聞いても、彼女はなんの表情も変えなかった。
「もう良いんです。元々私の方から皇子と離れようとしていたので。皇子はいずれ他の皇族か有力な豪族の姫を娶らないといけない人でしたから」
「お前は皇子の事を好いていたのだな」
佐由良は思わず刻々と頷いた。
「佐由良、前にも話したが。私は自分自身の為に麻日売を諦めた。きっと麻日売も今のお前と同じように、とても苦しんだはずさ。だからお前にも麻日売と同じような思いはさせたくない」
(お父様……)
「それに、皇子はお前の気持ちは知らないんだろ」
「でも私は采女の立場で有りますし」
彼女は悲しそうに俯いた。
「佐由良、お前だって妃になれない事は無いんだぞ。私のいる物部と吉備の血を引く娘なんだから」
「あの人はご自身の立場をとても良く理解されています。であれば、同じ皇族の姫かもっと他の力のある豪族の姫を妃にしたいはずです」
(それに皇子には他に女性が……あの宴で一緒にいられると言う事は、きっと皇族の姫なんだわ)
「それだって、皇子から直接聞いた訳では無いのだろ」
彼女は思わず口を閉ざしてしまった。
「佐由良、ではもっと素直になりなさい。お前にだって幸せになる権利がある。亡くなった麻日売の為にも。皇子としっかりと向き合ってみるんだ。それでも皇子に拒まれるようなら、その時はここで私と一緒に暮らしたら良いさ」
佐由良は伊莒弗の言葉を聞いて思わず勇気が湧いて来た。
「分かりました、お父様。私やれるだけの事をやってみます!」
「あぁ、それでこそ私の娘だ」