その頃、佐由良と瑞歯別皇子は大和にある若宮に戻る為、馬を走らせていた。
「何はともあれ、今回は来れて本当に良かったな」
「はい、本当に」
(本当にそうね。まさかこんな事になるなんて、思いもしなかった)
佐由良はチラッと皇子の顔を見た。 彼は何事もなく前を向いて馬を走らせている。
(まさか自分の気持に気付くなんて。皇子はどう思ってるんだろ)
彼女はそう思うと、途端に胸が苦しくなった。
そんな時だった。 また佐由良の前で不思議な光景が浮かんだ。
「うん、あそこにいるのは瑞歯別皇子?」
彼女の前には、瑞歯別皇子とあともう1人、知らない女性が立っていた。
「誰だろう。知らない人だわ」
するとその女性は、いきなり瑞歯別皇子の胸に抱きつき、そして皇子もその女性をしっかりと抱きとめた。
(え、うそ。これはどう言う事?)
佐由良がそう思った瞬間、その光景は消えた。
「今のは一体……」
「うん、佐由良どうかしたのか」
瑞歯別皇子が心配そうに彼女に尋ねた。
「いえ、何でもありません」
彼女はそう答えた。
(さっきの光景は過去の感じには見えなかった。もしかしてこれから起こる事で、皇子はあの女の人と結ばれるって事……)
彼女はその事に驚きを隠せなかった。
(やっぱり皇子は、私には手の届かない人なんだ)
こうして、佐由良は新たな不安を感じながら宮へと戻って行った。
「何はともあれ、今回は来れて本当に良かったな」
「はい、本当に」
(本当にそうね。まさかこんな事になるなんて、思いもしなかった)
佐由良はチラッと皇子の顔を見た。 彼は何事もなく前を向いて馬を走らせている。
(まさか自分の気持に気付くなんて。皇子はどう思ってるんだろ)
彼女はそう思うと、途端に胸が苦しくなった。
そんな時だった。 また佐由良の前で不思議な光景が浮かんだ。
「うん、あそこにいるのは瑞歯別皇子?」
彼女の前には、瑞歯別皇子とあともう1人、知らない女性が立っていた。
「誰だろう。知らない人だわ」
するとその女性は、いきなり瑞歯別皇子の胸に抱きつき、そして皇子もその女性をしっかりと抱きとめた。
(え、うそ。これはどう言う事?)
佐由良がそう思った瞬間、その光景は消えた。
「今のは一体……」
「うん、佐由良どうかしたのか」
瑞歯別皇子が心配そうに彼女に尋ねた。
「いえ、何でもありません」
彼女はそう答えた。
(さっきの光景は過去の感じには見えなかった。もしかしてこれから起こる事で、皇子はあの女の人と結ばれるって事……)
彼女はその事に驚きを隠せなかった。
(やっぱり皇子は、私には手の届かない人なんだ)
こうして、佐由良は新たな不安を感じながら宮へと戻って行った。