皇子がそう言った瞬間、ちょうど夕日と彼の顔が重なった。

 そして佐由良は、その彼の真剣な顔から目をそらす事が出来なかった。

 その瞬間に、彼女は凄い胸の高鳴りを感じた。そして何とも切ない気持ちになってくる。 

(何でこんなに私ドキドキしてるの、この人から目が離せない)

 その時初めて自分の気持ちに彼女は気付いた。

(どうしよう、私瑞歯別皇子(みずはわけのおうじ)の事が好き)

 ただそれと同時にもの凄い不安が彼女をおそった。

(この人はいずれ、他の皇族もしくは力のある族の姫を娶らないと行けないのに……)