「それでだ。伊莒弗、お前がどうして佐由良の母親と会ったのか、その経緯を教えて欲しい」
それから彼は、伊莒弗にこの勾玉の首飾りがもたらした不思議な出来事を説明した。
伊莒弗もかなり驚いた表情で、その話しを聞いていた。
「なる程、そう言う事ですか。分かりました。では全てをお伝えしましょう」
それから伊莒弗は当時の事を静かに語りだした。
「あれは今から15年程前。当時私はあなたのお父上の大雀大君が、吉備の黒日売を娶る事になり、その件で吉備を訪れました。そして私はそこで黒日売の妹にあたる麻日売と出会いました」
伊莒弗はその時の光景を、思い返しながら続けて話した。
「麻日売は黒日売と比べても引けを取らぬぐらい大変美しい姫で、私はひと目で麻日売に心を奪われました。
そして私達はあっという間に恋に落ちました」
(え、この人とお母様が恋に?)
「しかし、私は当時皇族の姫を妻に貰い受ける事になっていて、その手前もあり彼女と一緒になる事は出来ませんでした。
それでも私達は、私が吉備を離れるまでずっと互いに愛し合ってました。それで別れの際に、せめての思いで彼女にその勾玉を上げたのです。この勾玉は昔儀式等で使われていて、不思議な力があると言われてました」
「それで、お前と麻日売はそれっきりと言う訳か」
瑞歯別皇子は伊莒弗に言った。
「はい、おっしゃる通りです」
伊莒弗は無念そうにして言った。
それから彼は佐由良の方を見て言った。
「ただ、私がその勾玉を渡した瞬間、麻日売が一瞬ぼーっとして、それから私に言いました。いずれ私達の娘がこの勾玉を持ってあなたに会いに行くでしょうと」
「え!お母様が!」
「私もその時は悲しみの余りに、夢事を言ってるだけだと思ってました。だが今日この首飾りの不思議な力を聞いて、恐らくその時麻日売も何か不思議な光景が見えたのかもしれません」
「おい、待てよ。と言う事は……」
「はい、私も最初この娘を見た時から、何か不思議な感じがしてました。この子は私と麻日売の間に出来た子供でしょう」
それから彼は、伊莒弗にこの勾玉の首飾りがもたらした不思議な出来事を説明した。
伊莒弗もかなり驚いた表情で、その話しを聞いていた。
「なる程、そう言う事ですか。分かりました。では全てをお伝えしましょう」
それから伊莒弗は当時の事を静かに語りだした。
「あれは今から15年程前。当時私はあなたのお父上の大雀大君が、吉備の黒日売を娶る事になり、その件で吉備を訪れました。そして私はそこで黒日売の妹にあたる麻日売と出会いました」
伊莒弗はその時の光景を、思い返しながら続けて話した。
「麻日売は黒日売と比べても引けを取らぬぐらい大変美しい姫で、私はひと目で麻日売に心を奪われました。
そして私達はあっという間に恋に落ちました」
(え、この人とお母様が恋に?)
「しかし、私は当時皇族の姫を妻に貰い受ける事になっていて、その手前もあり彼女と一緒になる事は出来ませんでした。
それでも私達は、私が吉備を離れるまでずっと互いに愛し合ってました。それで別れの際に、せめての思いで彼女にその勾玉を上げたのです。この勾玉は昔儀式等で使われていて、不思議な力があると言われてました」
「それで、お前と麻日売はそれっきりと言う訳か」
瑞歯別皇子は伊莒弗に言った。
「はい、おっしゃる通りです」
伊莒弗は無念そうにして言った。
それから彼は佐由良の方を見て言った。
「ただ、私がその勾玉を渡した瞬間、麻日売が一瞬ぼーっとして、それから私に言いました。いずれ私達の娘がこの勾玉を持ってあなたに会いに行くでしょうと」
「え!お母様が!」
「私もその時は悲しみの余りに、夢事を言ってるだけだと思ってました。だが今日この首飾りの不思議な力を聞いて、恐らくその時麻日売も何か不思議な光景が見えたのかもしれません」
「おい、待てよ。と言う事は……」
「はい、私も最初この娘を見た時から、何か不思議な感じがしてました。この子は私と麻日売の間に出来た子供でしょう」