「そうだわ!では私も一緒について行きます。男女の組み合わせなら、若い夫婦が旅してるって感じに見えるでしょうから」

「確かに、それなら怪しまれにくいですね」

 稚田彦(わかたひこ)は「なるほどー」と頷いた。

「何が、なるほどーだ!俺はそんなの認めないぞ!!」

(佐由良、自分の言ってる事の意味分かってるのか。そんな危険な事)

 瑞歯別皇子(みずはわけのおうじ)はいきなり血相を変えて突っかかってきた。

「でも皇子、伊久売(いくめ)が心配で宮で待ってるなんて私には出来ません!それに私、こう見えて馬にも多少乗れます。なので私が同行するのが得策だと思うのですが」

「馬に乗れるのは有り難い。と言うより、早くしないとそいつらを見失ってしまいますが、どうします皇子?」

「うぅ......分かった。それなら俺も一緒に行く。佐由良、お前は俺の馬に一緒に乗れ」

「そんな、もし皇子にもしもの事があったら」

 佐由良は不安げに言った。

「まぁ、稚田彦程ではないが、俺もそれなりに剣が使える。万が一の時も何とかなるはずだ」

「それは、そうですが……」

 稚田彦はやれやれといった感じだ。



 そして結局、この3人で後を追う事になった。