「ところで収穫祭は無事に終わったの?」

「えぇ、問題なく終えたわ。大君も皇子も、無事に参加されて」

 それを聞いて佐由良は安心した。自分でせいで収穫祭が行われなくなったとなれば大問題だ。とても謝って済まされるものではない。

「そう、それは良かった。それと皇子には、私の無事の事を伝えてくれない」

(皇子にも酷く迷惑をかけてしまったし、とりあえず無事だった事だけでも伝えないと)

「えぇ、もちろんそれは伝えるわ。ただ今の感じだと、あなたに会わせる顔は無いでしょうね。それぐらい思い詰めてる感じだったから」

(あの皇子がそこまで追い詰めるなんて、本当に意外だわ……)

「分かった。私が動けるようになったら、直接会いに行けるようにお願いしてみるわ」

 それを聞いた胡吐野はふと思った。

(これは、佐由良には内緒にして欲しいと言われてたけど。皇子は佐由良が意識を失ってから、中々彼女の側を離れようとしなかったのよね。それを必死で説得して、何とかご自身の部屋に戻ってもらったんだから)

「とりあえず、今はしっかり休んで、療養に専念する事。分かったわね」

「えぇ、分かった。そうするわ」

 こうして1ヶ月もの間、彼女は体を休める事にした。