その日の夜、嵯多彦(さたひこ)は計画を練っていた。

「皇子のいる部屋も分かったし、見張りの奴らの位置も大体把握出来た。
ただちょっと皇子を刺激し過ぎたのが悪く、変に警戒されてしまったみたいだ」

 するとふと部屋の外から話し声が聞こえてきた。

「もうすぐ収穫祭の時期だな」

「あぁ、そうだな。今年の収穫祭は大君がされるが、今回は皇子も補佐に回るだろうし」

「明日はその準備で忙しいだろうな」

(なる程、明日は少し手薄になるかもしれない。)

 嵯多彦にはある案が浮かんでいた。

 あとは瑞歯別彦皇子(みずはわけのおうじ)が素直に動くかどうかだげだな。


 それから、嵯多彦は早速その準備に取り掛かる事にした。