数日後、葛城の嵯多彦とその連れの者が数名、瑞歯別皇子の宮にやって来た。
嵯多彦一行を入り口で出迎えたのは佐由良だった。
(何故、私が葛城の人達を出迎えるんだろう)
佐由良にとってこの出迎えはちょっと意外ではあった。相手は豪族葛城から来た大事な客人である。
「ようこそ、お持ちしておりました。私はこの宮に使えております、佐由良と申します」
彼女はそう言って、頭を下げて挨拶をした。
「こちらこそ、急な訪問で申し訳ない。私は葛城の名を嵯多彦と言います」
そう言って嵯多彦は、頭を上げた佐由良の顔を見た。
「それにしても美しい方ですね。どちらの生まれの方ですか?」
それを聞いた佐由良は少し気まずそうにしながら彼に応えた。
「はい、生まれは吉備の海部です」
(吉備海部......あの黒日売の族か)
「あぁ、そうでしたか。吉備の国の方ですか。私は生まれがどことか気にしてませんので、お気になさらず」
それを聞いた佐由良は嬉しくなった。葛城は磐之媛の実家の族なので、余り良く思われてないと思っていた。
「そう言って頂けて、安心しました。葛城の方達は吉備に対して良く思ってないのではと心配しておりました」
「いえいえ、まぁ少なくとも私は思ってません」
(皆が皆、悪く思ってる訳ではないのね)
佐由良はそれを聞いて、心の底から本当に有り難いと思った。
「では、案内しますね。どうぞこちらに」
そう言って佐由良は、葛城の人達を部屋へと案内する為歩き出した。
(この女、釆女として大和に来たんだろう。これだけ綺麗な娘なら、もう瑞歯別皇子の手が付いてるはずだ。吉備の娘と言うのが不愉快だが、この娘を慰めものにするのは良いかもな)
佐由良は、後ろで嵯多彦がそんな事を考えてるとは露知らずに、そのまま宮の中へと向かった。
嵯多彦一行を入り口で出迎えたのは佐由良だった。
(何故、私が葛城の人達を出迎えるんだろう)
佐由良にとってこの出迎えはちょっと意外ではあった。相手は豪族葛城から来た大事な客人である。
「ようこそ、お持ちしておりました。私はこの宮に使えております、佐由良と申します」
彼女はそう言って、頭を下げて挨拶をした。
「こちらこそ、急な訪問で申し訳ない。私は葛城の名を嵯多彦と言います」
そう言って嵯多彦は、頭を上げた佐由良の顔を見た。
「それにしても美しい方ですね。どちらの生まれの方ですか?」
それを聞いた佐由良は少し気まずそうにしながら彼に応えた。
「はい、生まれは吉備の海部です」
(吉備海部......あの黒日売の族か)
「あぁ、そうでしたか。吉備の国の方ですか。私は生まれがどことか気にしてませんので、お気になさらず」
それを聞いた佐由良は嬉しくなった。葛城は磐之媛の実家の族なので、余り良く思われてないと思っていた。
「そう言って頂けて、安心しました。葛城の方達は吉備に対して良く思ってないのではと心配しておりました」
「いえいえ、まぁ少なくとも私は思ってません」
(皆が皆、悪く思ってる訳ではないのね)
佐由良はそれを聞いて、心の底から本当に有り難いと思った。
「では、案内しますね。どうぞこちらに」
そう言って佐由良は、葛城の人達を部屋へと案内する為歩き出した。
(この女、釆女として大和に来たんだろう。これだけ綺麗な娘なら、もう瑞歯別皇子の手が付いてるはずだ。吉備の娘と言うのが不愉快だが、この娘を慰めものにするのは良いかもな)
佐由良は、後ろで嵯多彦がそんな事を考えてるとは露知らずに、そのまま宮の中へと向かった。