翌日、去来穂別皇子とも住吉仲皇子を通してだが、少しばかりだが話が出来た。
皇子は最近出来た妃である葛城の黒媛をたいそう気に入っているようで、声は鈴の音のようでとても愛くるしく、それはそれは美しい娘なのだそうだ。
「黒日売の伯母様もとっても綺麗だけど、葛城の黒媛様もさぞお美しい方なんでしょうね」
佐由良はまだ一度も会った事のない黒媛を一人勝手に思い描いていた。
だがその時住吉中皇子が少し元気が無い感じがした。
「どうかされましたか?」と佐由良が聞いても、
「いや、何でもないよ」と言うだけである。
(住吉中皇子、何か変だわ)
佐由良も気にはなったが、そう返されてしまっては何も言えず、それ以上は触れない事にした。
またもう一人の皇子である瑞歯別皇子も話には入っていたが、それほど関心を持って聞いている感じがしなかった。
(もしかして、私がいるのがやっぱり嫌なのかしら)
佐由良が思わず瑞歯別皇子に目をやった。
加那弥の言うように見ためだけで言えば本当に美しい皇子だと彼女も思った。背も高く凛としていて、また綺麗な顔立ちが彼の魅力をさらに引き立てていた。
采女の女達が彼に心惹かれるのも分からなくない。
そうこうしていると向こうが佐由良の視線に気づいたのか、思わず皇子と目があってしまった。
「え……」
佐由良は皇子に見られて思わずビクッとした。
しかし彼は少し表情を歪ませてすぐにそのままふいと顔を背けてしまった。
「そ、そんなに嫌なの……」
佐由良は悔しいやら悲しいやらで、何ともやるせない気がした。
(仕方ないわ、最初自分の前には余り顔を出すなって言われているし。)
大和に来てからは相手に拒絶されるような事がなかっただけに彼女は少し傷ついた。
「これもあとしばらくの辛抱よ」
そうしてその日の内に、皇子達は自分達の宮へと帰っていった。
皇子は最近出来た妃である葛城の黒媛をたいそう気に入っているようで、声は鈴の音のようでとても愛くるしく、それはそれは美しい娘なのだそうだ。
「黒日売の伯母様もとっても綺麗だけど、葛城の黒媛様もさぞお美しい方なんでしょうね」
佐由良はまだ一度も会った事のない黒媛を一人勝手に思い描いていた。
だがその時住吉中皇子が少し元気が無い感じがした。
「どうかされましたか?」と佐由良が聞いても、
「いや、何でもないよ」と言うだけである。
(住吉中皇子、何か変だわ)
佐由良も気にはなったが、そう返されてしまっては何も言えず、それ以上は触れない事にした。
またもう一人の皇子である瑞歯別皇子も話には入っていたが、それほど関心を持って聞いている感じがしなかった。
(もしかして、私がいるのがやっぱり嫌なのかしら)
佐由良が思わず瑞歯別皇子に目をやった。
加那弥の言うように見ためだけで言えば本当に美しい皇子だと彼女も思った。背も高く凛としていて、また綺麗な顔立ちが彼の魅力をさらに引き立てていた。
采女の女達が彼に心惹かれるのも分からなくない。
そうこうしていると向こうが佐由良の視線に気づいたのか、思わず皇子と目があってしまった。
「え……」
佐由良は皇子に見られて思わずビクッとした。
しかし彼は少し表情を歪ませてすぐにそのままふいと顔を背けてしまった。
「そ、そんなに嫌なの……」
佐由良は悔しいやら悲しいやらで、何ともやるせない気がした。
(仕方ないわ、最初自分の前には余り顔を出すなって言われているし。)
大和に来てからは相手に拒絶されるような事がなかっただけに彼女は少し傷ついた。
「これもあとしばらくの辛抱よ」
そうしてその日の内に、皇子達は自分達の宮へと帰っていった。