「とりあえず、今回の吉備からの訪問の件は俺から佐由良に伝えておく」
「分かりました。ではそちらは皇子にお任せします」
(皇子は本当に佐由良を守る気でいるようだ。だが1つ気になるのは、吉備の連中は本当に皆佐由良を嫌っていたのだろうか。
あれだけ綺麗な娘のだから、吉備内でも彼女に惹かれていた者がいてもおかしくはないと思う......まぁ、こんな事皇子に話したら、またややこしくなるので黙ってておこう)
稚田彦《わかたひこ》が思うに、瑞歯別皇子《みずはわけのおうじ》は意外に嫉妬深い所がある。それはこれまでの経緯が色々あったので、仕方のない事なのかもしれないが。
「あぁ、分かった。稚田彦にも悪いが、そう言う事なので、吉備の対応をお願いする」
「はい、分かりました。準備はこれから取り掛かる事にします」
そう言って、稚田彦は瑞歯別皇子の部屋を後にした。
(まぁ、何事も問題が起こらなければ良いが)
瑞歯別皇子もふと、今回の訪問に思いを巡らせた。
「さてと、時間も出来たから、今回の吉備の訪問の件をこのまま佐由良に話しに行くとするか」
そう言って瑞歯別皇子も佐由良の元へと向かった。
「え!吉備の海部から訪問があるんですか!」
佐由良は瑞歯別皇子の知らせにとても驚いた。今まで実家の海部からは殆ど音沙汰が無かった状態だ。
確かに大王の元に行くなら理解出来るが、この宮に来るのは意外だと思った。
まさか自分の様子を見に来る訳でもないだろうに。
「あぁ、恐らく大王の訪問のついでだろうが。それで前回の嵯多彦《さたひこ》の件もあるから、その訪問者の中に怪しい奴がいないか、見てもらえないか」
(あぁ、確かに。私なら海部の人達を良く知っているから、それは直ぐに分かるはずだわ)
「分かりました。それは問題ありません」
佐由良は瑞歯別皇子にそう言った。
まさか海部が謀反なんて起こすとは中々考えにくいが、用心するには越した事はない。
「でも、私が気になるのは一体誰が来るんでしょうね。お祖父様自身が来るとは中々考えにくいし、恐らく代理を立てるはず……」
佐由良は吉備からの訪問者が誰だろうかと、1人頭の中で色々と考え込みだした。
「とりあえず誰が来るか分からないので、無理にお前は挨拶しなくても良いからな。訪問者の確認だけで構わない」
(瑞歯別皇子……そうか、皇子は私の事を心配してくれてるんだ)
「皇子、心配して下さって有り難うございます。とりあえず、私の方で出来る事はさせて頂きますので」
そう彼女は笑顔で答えた。
それを聞いた瑞歯別皇子は、佐由良を自分に引き寄せて言った。
「有り難う、佐由良。お前に辛い思いをさせるなんて事は絶対にしない」
佐由良はそんな皇子の言葉を聞いて、なんて自分は守られてるんだろうと、とても幸せな気持ちになった。
(どうが、この訪問が上手く行きますように)
「分かりました。ではそちらは皇子にお任せします」
(皇子は本当に佐由良を守る気でいるようだ。だが1つ気になるのは、吉備の連中は本当に皆佐由良を嫌っていたのだろうか。
あれだけ綺麗な娘のだから、吉備内でも彼女に惹かれていた者がいてもおかしくはないと思う......まぁ、こんな事皇子に話したら、またややこしくなるので黙ってておこう)
稚田彦《わかたひこ》が思うに、瑞歯別皇子《みずはわけのおうじ》は意外に嫉妬深い所がある。それはこれまでの経緯が色々あったので、仕方のない事なのかもしれないが。
「あぁ、分かった。稚田彦にも悪いが、そう言う事なので、吉備の対応をお願いする」
「はい、分かりました。準備はこれから取り掛かる事にします」
そう言って、稚田彦は瑞歯別皇子の部屋を後にした。
(まぁ、何事も問題が起こらなければ良いが)
瑞歯別皇子もふと、今回の訪問に思いを巡らせた。
「さてと、時間も出来たから、今回の吉備の訪問の件をこのまま佐由良に話しに行くとするか」
そう言って瑞歯別皇子も佐由良の元へと向かった。
「え!吉備の海部から訪問があるんですか!」
佐由良は瑞歯別皇子の知らせにとても驚いた。今まで実家の海部からは殆ど音沙汰が無かった状態だ。
確かに大王の元に行くなら理解出来るが、この宮に来るのは意外だと思った。
まさか自分の様子を見に来る訳でもないだろうに。
「あぁ、恐らく大王の訪問のついでだろうが。それで前回の嵯多彦《さたひこ》の件もあるから、その訪問者の中に怪しい奴がいないか、見てもらえないか」
(あぁ、確かに。私なら海部の人達を良く知っているから、それは直ぐに分かるはずだわ)
「分かりました。それは問題ありません」
佐由良は瑞歯別皇子にそう言った。
まさか海部が謀反なんて起こすとは中々考えにくいが、用心するには越した事はない。
「でも、私が気になるのは一体誰が来るんでしょうね。お祖父様自身が来るとは中々考えにくいし、恐らく代理を立てるはず……」
佐由良は吉備からの訪問者が誰だろうかと、1人頭の中で色々と考え込みだした。
「とりあえず誰が来るか分からないので、無理にお前は挨拶しなくても良いからな。訪問者の確認だけで構わない」
(瑞歯別皇子……そうか、皇子は私の事を心配してくれてるんだ)
「皇子、心配して下さって有り難うございます。とりあえず、私の方で出来る事はさせて頂きますので」
そう彼女は笑顔で答えた。
それを聞いた瑞歯別皇子は、佐由良を自分に引き寄せて言った。
「有り難う、佐由良。お前に辛い思いをさせるなんて事は絶対にしない」
佐由良はそんな皇子の言葉を聞いて、なんて自分は守られてるんだろうと、とても幸せな気持ちになった。
(どうが、この訪問が上手く行きますように)