その後、御津日売は初めて瑞歯別皇子と対面した。
「この度は、瑞歯別皇子の宮にお仕えさせて頂く事となりました、和珥の御津日売でございます。皇子はつきましては、今後とも宜しくお願い申し上げます」
御津日売は皇子の前で頭を下げて挨拶をした。
「挨拶は分かった。顔を上げなさい」
瑞歯別皇子にそう言われて、御津日売が顔を上げた。そして皇子に向けてにっこりと微笑んだ。
そんな彼女を、瑞歯別皇子はしばしじーと見た。
(これが噂に聞く、和珥の御津日売か。確かにかなり美しい姫ではあるが……)
「まだ宮に来たばかりで、不慣れかとは思う。分からない事等は他の者に聞いて、しっかりと仕えてもらいたい」
「皇子、分かりました。1日も早くこの宮に慣れて、皇子にしっかりとお仕えしたいた思います」
そう言って御津日売は再度頭を下げた。
「よし、分かった。俺はこれから政り事に取りかかるので、短くて済まないがもう下がって良いぞ」
皇子にそう言われた為、御津日売は「分かりました。では誠に残念ではございますが、ここで失礼させて頂きます」と言って立ち上がり、揺ったりとした動きで部屋を出ていった。
御津日売が部屋を出て行ったのを確認すると、皇子は家臣を集めて政り事の話し合いを始めた。
(先程の娘、確かに綺麗だが、どうも好かないな……)
その後佐由良が宮の外を歩いていると、皇子の部屋から出てきた御津日売と偶然鉢合わせた。
(あれは、御津日売)
佐由良は御津日売の前で軽く会釈をした。
すると御津日売は佐由良に尋ねた。
「あなたもこの宮の釆女の方ですか」
「はい、佐由良と言います。生まれは吉備の海部です」
それを聞いた御津日売は少しの間佐由良を見てから言った。
「まぁ、吉備からいらしたの。可愛らしい姫ね。私は和珥の御津日売です。これからどうぞ宜しく」
「はい、こちらこそ。宜しくお願いします」
佐由良は再度会釈をした。
「今丁度、瑞歯別皇子と初めて対面して来た所なの。とても凛として素敵な皇子ですわね。早くお近づきになりたいものだわ。また皇子の事で知ってる事があれば、是非教えて下さいね」
そう言って、御津日売はそのままスタスタと歩いて言った。
(やっぱり、御津日売は皇子の妃を狙ってるんだ。皇子、姫に会ってどう思ったんだろう)
そんな事を悶々と考えながら、佐由良は仕事に戻って行った。
「この度は、瑞歯別皇子の宮にお仕えさせて頂く事となりました、和珥の御津日売でございます。皇子はつきましては、今後とも宜しくお願い申し上げます」
御津日売は皇子の前で頭を下げて挨拶をした。
「挨拶は分かった。顔を上げなさい」
瑞歯別皇子にそう言われて、御津日売が顔を上げた。そして皇子に向けてにっこりと微笑んだ。
そんな彼女を、瑞歯別皇子はしばしじーと見た。
(これが噂に聞く、和珥の御津日売か。確かにかなり美しい姫ではあるが……)
「まだ宮に来たばかりで、不慣れかとは思う。分からない事等は他の者に聞いて、しっかりと仕えてもらいたい」
「皇子、分かりました。1日も早くこの宮に慣れて、皇子にしっかりとお仕えしたいた思います」
そう言って御津日売は再度頭を下げた。
「よし、分かった。俺はこれから政り事に取りかかるので、短くて済まないがもう下がって良いぞ」
皇子にそう言われた為、御津日売は「分かりました。では誠に残念ではございますが、ここで失礼させて頂きます」と言って立ち上がり、揺ったりとした動きで部屋を出ていった。
御津日売が部屋を出て行ったのを確認すると、皇子は家臣を集めて政り事の話し合いを始めた。
(先程の娘、確かに綺麗だが、どうも好かないな……)
その後佐由良が宮の外を歩いていると、皇子の部屋から出てきた御津日売と偶然鉢合わせた。
(あれは、御津日売)
佐由良は御津日売の前で軽く会釈をした。
すると御津日売は佐由良に尋ねた。
「あなたもこの宮の釆女の方ですか」
「はい、佐由良と言います。生まれは吉備の海部です」
それを聞いた御津日売は少しの間佐由良を見てから言った。
「まぁ、吉備からいらしたの。可愛らしい姫ね。私は和珥の御津日売です。これからどうぞ宜しく」
「はい、こちらこそ。宜しくお願いします」
佐由良は再度会釈をした。
「今丁度、瑞歯別皇子と初めて対面して来た所なの。とても凛として素敵な皇子ですわね。早くお近づきになりたいものだわ。また皇子の事で知ってる事があれば、是非教えて下さいね」
そう言って、御津日売はそのままスタスタと歩いて言った。
(やっぱり、御津日売は皇子の妃を狙ってるんだ。皇子、姫に会ってどう思ったんだろう)
そんな事を悶々と考えながら、佐由良は仕事に戻って行った。