(自分を守ってくれるヤツか……)

 瑞歯別皇子(みずはわけのおうじ)の中で、この言葉が一番興味を引いた。

(前回の嵯多彦(さたひこ)の時は、むしろ俺が助けられたからな)

 そこまで話しを聞いた彼は、その場を後にした。

「しかし、つくづく俺は嫌われるような事しかしてなかったな。それなのにあいつには俺を庇って怪我までさせてしまった……」

(今度、もしあいつが危険な目に合うような事があれば、今度こそ俺が守ってやる。あいつはただ普通に笑顔でいてくれたらそれで良い)

 そう心に誓って、皇子は部屋に戻って行った。