その後、炊屋姫の誓願も無事に終わり、人々は各自解散となった。
稚沙もその場に集った人々の帰りを見届けると、その後の片付けに取りかかる。だが始まる前の準備に比べれば、そこまで労力のかかるものでもない。
そして片付けが落ちついてくると、目上の女官から少し休憩を貰えることになった。
(炊屋姫の誓願は本当に素晴らしいものだった。これからは大王を中心とした世の中になるのかしら?)
稚沙はそんなことを考えながら、宮内を歩いていた。彼女は先程の炊屋姫の凛々しい姿に、酷く感銘を受けていた。女性といえども相手は大和の大王である。
彼女のその品性には目を見張る物があった。
(でも、やはり蘇我が心配ね。炊屋姫様も、厩戸皇子には十分気を付けるようにと話していたから)
確かに蘇我馬子は何人もの大王や皇子を暗殺している。であれば厩戸皇子が狙われる可能性だって、全く無い訳ではない。
(厩戸皇子にもしものことがあったら……ううん、そんなことは絶対にさせない。あの方は今の大和になくてはならない人なのだから!)
稚沙がそう心の中で思っていた矢先である。彼女のいる所から少し離れていて、どちらかというと余り人気のなそうな場所に、何やら人影が見えた。
(今日ここに来られた人?でも大半の人達はもう帰られたはずなのに)
稚沙はその人影が少し気になり、近づいてみることにする。
そしてその人影は、何と今日彼女が見かけた蘇我馬子とその甥の椋毘登だった。
(どうしてあの2人がまだ小墾田宮にいるの?しかもあんな人目から隠れるような所でこそこそと……)
2人は何やら真剣そうな感じで話をしている。だがどんな話をしているのかは、稚沙が今いるこの場所からは分からない。
(これは怪しいわ。ちょっと隠れて話を聞いてみよう。それにもしかすると厩戸皇子達のお役に立てれるかもしれないし)
稚沙の脳裏にふと厩戸皇子の顔が浮かんだ。いつも優しい皇子の助けになるなら、多少の危険はいとまない。彼女はそのように思った。
それから稚沙は2人に気付かれないように、出来るだけ音を立てずにそっと近づいていく。
そしてやっとのことで、2人の声がぎりぎり聞こえる所まで近づくことができた。
(よし、あの柱の後ろに隠れれば大丈夫でしょう)
そして彼女はさらに息を潜めて、何とかその柱の後ろに回ることに成功する。
すると彼女の元に、やっと2人の会話が聞こえてき出した。
稚沙もその場に集った人々の帰りを見届けると、その後の片付けに取りかかる。だが始まる前の準備に比べれば、そこまで労力のかかるものでもない。
そして片付けが落ちついてくると、目上の女官から少し休憩を貰えることになった。
(炊屋姫の誓願は本当に素晴らしいものだった。これからは大王を中心とした世の中になるのかしら?)
稚沙はそんなことを考えながら、宮内を歩いていた。彼女は先程の炊屋姫の凛々しい姿に、酷く感銘を受けていた。女性といえども相手は大和の大王である。
彼女のその品性には目を見張る物があった。
(でも、やはり蘇我が心配ね。炊屋姫様も、厩戸皇子には十分気を付けるようにと話していたから)
確かに蘇我馬子は何人もの大王や皇子を暗殺している。であれば厩戸皇子が狙われる可能性だって、全く無い訳ではない。
(厩戸皇子にもしものことがあったら……ううん、そんなことは絶対にさせない。あの方は今の大和になくてはならない人なのだから!)
稚沙がそう心の中で思っていた矢先である。彼女のいる所から少し離れていて、どちらかというと余り人気のなそうな場所に、何やら人影が見えた。
(今日ここに来られた人?でも大半の人達はもう帰られたはずなのに)
稚沙はその人影が少し気になり、近づいてみることにする。
そしてその人影は、何と今日彼女が見かけた蘇我馬子とその甥の椋毘登だった。
(どうしてあの2人がまだ小墾田宮にいるの?しかもあんな人目から隠れるような所でこそこそと……)
2人は何やら真剣そうな感じで話をしている。だがどんな話をしているのかは、稚沙が今いるこの場所からは分からない。
(これは怪しいわ。ちょっと隠れて話を聞いてみよう。それにもしかすると厩戸皇子達のお役に立てれるかもしれないし)
稚沙の脳裏にふと厩戸皇子の顔が浮かんだ。いつも優しい皇子の助けになるなら、多少の危険はいとまない。彼女はそのように思った。
それから稚沙は2人に気付かれないように、出来るだけ音を立てずにそっと近づいていく。
そしてやっとのことで、2人の声がぎりぎり聞こえる所まで近づくことができた。
(よし、あの柱の後ろに隠れれば大丈夫でしょう)
そして彼女はさらに息を潜めて、何とかその柱の後ろに回ることに成功する。
すると彼女の元に、やっと2人の会話が聞こえてき出した。