俺は腹の底から笑いが込み上げてくるのが止められなかった。
 急に笑い出した俺を見て「どうしたんだ?」と父は聞いてきた。
 俺はどうやってこの笑いの意味を説明しようか、と考えた。
 全部のピースが揃った。
 答えは全部ここにあった。

「父さん……今度は俺の話を聞いてくれる?」

「なんだ?」

「実はさ、俺今日自殺しようと思ってたんだよね」

 俺の突然の告白に、「どうした何があった?」と父が汗をだらだらかきながら問い詰める。
 俺は「落ち着きなよ」と父を椅子に座らせながら、奇妙な出来事の始まりから寝室に忍び込んだことなど、ありえないだろ?って笑いながら話し続けた。

 一睡もしないまま学校に向かった俺が知ったのは、実は俺が自殺しようとした日から2日経っていて、俺が「オカマキャラ」で一躍男女問わず人気者になってしまっていたという事だ。
 一体何があったのかは……まあ概ね想像通りだと思うのだが……。
 何故自分の記憶が完全に途切れているのかは分からない。
 だが、それ以上に衝撃的だったのは、自殺の日までに創り上げた、あれほどまで完璧な考察が全て引っくり返され、いかに自分が未熟であったかを突きつけられたという事。

「恰好つけて死ぬなんて100年早い!」

 そう語り掛けてくる、俺が知っている声が脳内に響いてきて、色々な意味で泣き出しそうになった。