- 作品番号
- 1680048
- 最終更新
- 2022/10/04
- 総文字数
- 9,022
- ページ数
- 10ページ
- ステータス
- 完結
- いいね数
- 1
- ランクイン履歴
-
現代ファンタジー5位(2023/01/29)
ファンタジー46位(2023/01/29)
魂を反(かえ)す香
道具屋を営む彼が「面白いもんを手に入れました」と言って、包みをふたつ取り出した。
包みを開くと、それは香炉とお香だった。香炉は美しい装飾が施されているものの、どこからどう見ても普通の香炉とお香。これのどこが「面白い」ものなのだろう。もしかしたら珍妙な香りがするのかもしれない。
「これは反魂香というもんです。なんでも、焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるとか。これを焚いたどこぞの国の皇帝が、煙の中に亡くならはった奥さんの姿を見たそうです」
死んだ誰かにまた会うことができるなんて夢がある。死が今生の別れではあっても、永遠の別れではないと、思うことができる。
道具屋を営む彼が「面白いもんを手に入れました」と言って、包みをふたつ取り出した。
包みを開くと、それは香炉とお香だった。香炉は美しい装飾が施されているものの、どこからどう見ても普通の香炉とお香。これのどこが「面白い」ものなのだろう。もしかしたら珍妙な香りがするのかもしれない。
「これは反魂香というもんです。なんでも、焚くとその煙の中に死んだ者の姿が現れるとか。これを焚いたどこぞの国の皇帝が、煙の中に亡くならはった奥さんの姿を見たそうです」
死んだ誰かにまた会うことができるなんて夢がある。死が今生の別れではあっても、永遠の別れではないと、思うことができる。
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