「貴方様の妻にさせてください!」

と最後に叫んで、私が湖に飛び込んだのは数日前のこと。

深い湖底に吸い寄せられ、目を覚ましたら透冴様が私を見下ろしていた。

「おまえか。汚らわしい人間の分際で我が湖に落ちてきた輩は。まったく、生贄などいらないと以前から伝えて――ん? おまえ、まさか……」
「覚えていてくださったんですね!」
「な、何だ! 急に抱き着くなっ!」
「ご、ごめんなさい! つい……!」

嬉しくて。

だって初めてお会いしてからずっとずっと、私は透冴様に恋焦がれていたのだから。

私と透冴様の出会いは、これより少し前に遡る。
二年前のこと。
私が十五歳の時だった。

その時も私は生贄としてこの湖に身を投げた。