「その、なんと言えばいいのか……ああもどかしいな。おまえ、私が話下手で語彙力の低い男だと思っているだろう?」
「いえ! そんなことはけして」
「こう見えても私はな、聡明博識な神として天界でも名が通っているのだ。手間取っているのはだな、この胸のもやつきが上手く言葉に表現できぬからでな、ええと、その、つまり、だ」

突然、引き寄せられたかと思うと、ぎゅうと抱きしめられた。

「少しは私のそばでじっとしていろ、と言いたいのだ。いろいろ面倒を見てくれるのはありがたいが、こうしておまえを抱き締めている時が、私は一番満ち足りる」

そう囁いてきた声は、ほっとしたように低くしっとりとしていて、私まで甘く満ち足りた想い心が溶けていく。

「おまえは本当に罪深い。満ち足りたと思えば、飢えたように求めさせたり、耐えられない空虚に胸を圧し潰したり――私に色々な感情を芽生えさせ過ぎる」

透冴様は私の頬に手を添えた。

「総じてそれらが、おまえが教えてくれた『愛』というものなのだろうな。鼓水、私はおまえが愛しくて堪らないらしい」
「そ、そんな、もったいないお言葉……!」

透冴様からの不意打ちの愛の告白に、私は火が出るのではないかと言うくらい顔を赤面させた。
その頬を、透冴様がぷにぃとつまむ。

「そなたが、私だけの永遠の伴侶だ」
「はい、透冴様……」