私のささやかな家出の後、屋敷に戻ると今度は三人で宴の続きをした。
いつの間にか眠ってしまっていて、お布団を用意しようとしたら、燿興様が起きていることに気付いた。
月光が降り注ぐ庭に、燿興様は立っていた。

「燿興様、お先に起きていらっしゃったのですね」

燿興様は、何をとぼけたことを言うんだ、とでも言いたげな顔をした。

「俺はずっと起きていた。潰れたのはおまえ達だけだ。俺は兄弟一酒が強いんでな」
「まぁ」

見かけによらずとはこのことだわ。

と感心していると、燿興様は少し口ごもりながら言った。

「その、わ、悪かったな、先ほどは」
「はい?」
「人間ごときとかなんだとか、いろいろ言ってすまなかったな、と言っているんだ!」
「え! そ、そんな……!」

突然の燿興様のお言葉にびっくりしてしまった。
私が家出騒ぎを起こしたのを気に病んでくださっていたのだろうか……。