『一生涯忘れませぬ、透冴様』
『ああ』
『どうぞ、お元気で』

微かに細められる目。
この時ばかりは、その涼しげな美しい青い瞳に影がさしているように見えて――次の瞬間、私は思ってしまったんだ。

この方には、寂しいという気持ちは知らずとも、そう思う心はあるのではないか、と。

美しくて天邪鬼な龍神様。

微笑んでいながら、別れ際にそんな表情(かお)をされては、忘れることなんて、できるはずないではないですか……。

黒い影の眼光が、標的を定めるようにすがめられた。
観念して私は目をつむる。

ああ透冴様、最期に一目お会いしたかった……!