「どうして兄者ほどのお方が人間の女など……! 俺は認めませぬぞ! 天界だってそう言うに決まっている……!」
「別によい。もとより私は天界とは一線を引いているしな」

つらっと言ってのける透冴様に、弟君様はついには泣きそうな声で訴えた。

「せめてっ、俺には言って欲しかったぁあ」
「おまえに言うと一晩のうちに天界中に知れ渡ってしまうだろうが」
「ひでぇよ! 俺の口はそんなに軽くないぞ!」
「軽いのは口ではなく頭だ。いいか。このことは俺がいいと認めるまで他言無用だぞ。もし破ったら、今後一切の尻拭いはしてやらないからな」
「ぐぅう……分かったよ……」

と、渋々認めるものの、先ほどまでの快活さは影を潜め、座り込んで落胆しきっていらっしゃる。
兄上様が人間の女を伴侶に選んだのが、よほど残念だったのかもしれない……。

やはり、私は透冴様に相応しくないんだわ……。