龍神様にもご兄弟がいらっしゃるのね!
どことなく、端正なお顔立ちが透冴様に似ていると思ったら、通りで。

なんて感心している場合じゃない、妻としてきちんとご挨拶しないと――と思ったら、弟君様は私を見るなり、しかめっ面を浮かべた。

「人間の小娘が何故ここに? まさか兄者が人間を小間使いとして置くとは」
「いや、この娘は私の妻だ」
「は?」
「伴侶だ」

弟君様は、大きなお口をさらにあんぐりと開いた。

「聞いておりませぬぞ兄者ぁあ~! 青龍の兄者も赤龍の兄者も何も言っていなかった!」
「ああ、それはそうだろう。言ってないからな」
「はぁあ?」
「このことはまだ兄上達には内緒だぞ。青龍の兄上は怒り狂うだろうし、赤龍の兄上に限っては変に興味を持って鼓水にちょっかい出しでもしたらかなわんからな」

弟君様は顔を蒼白とさせて、震えた声で言った。