「どうせ下等な人間が感じる下らない感情なのだろう? 私は神。そんな下賤な感情になど振りまわされはしない」

なるほど。さすが神様。

思わず感心してしまった。
確かに、尊い存在である神様が『寂しい』なんて感情、持つはずがない。

でも……。

寂しいと思わないということは、誰かがそばにいないということ。
水神様がずっと、誰かと共に過ごす喜びを知らずに生きてこられたからなのだわ……。

きゅっと胸が痛んだ。

水神様が思わずとも、私がそれを寂しいと感じてしまったのだけれど……。
それこそが下賤な感情と言うのかしら……。

「困りました。ではどうすれば……」

ううん、と唸る私に、水神様は整った顔を訝しげに歪めた。

「何だ」
「村を救ってくださるお返しに、私があなた様のお話相手になろうと思ったのですが……」
「痴れたこと。おまえのような小娘では足りぬわ」
「……ですよね」

言わずもがな、です。