ほんとに何なん、あいつ。
うっとうしい。
視界から消えてほしいんですけど。
あー、またいらいらしたら甘い物ほしくなるじゃん。うざ。
ニキビできたらやだ。
でも食べちゃう。
#愚痴垢 #毒吐きます
九月の三週目。体育祭の打ち上げがあった。
もうそこから腹が立って仕方がない。吐きそう。
あの暗い地味な子。
高校生にもなって化粧どころかスキンケアもしてない上に髪もボサボサの女っ気ゼロの同級生。
あたしたちとは住んでる世界が違うっていうか、低レベルすぎるっていうか?
交わらない世界。
名字の一文字目が一緒だから、基本座席前後で、しかもあいつがうちの一個前だから、授業中延々あいつのぐしゃぐしゃの後頭部見せつけられるわけ。
体育の後とか普通に臭い。まじでお前女子か?みたいな。
こっちは毎日少ないお小遣いでやりくりしてプチプラの韓国コスメ探して、隙あらば保湿、マッサージ、ストレッチってめちゃくちゃ努力してる。
先生に注意されないくらいにうっすら眉毛や涙袋掻いて、まつげカールさせて。
そういう努力ができない子なんだよね。
去年一度だけ私服見ることがあったんだけど、それがダサすぎて「おばさんじゃん」って思わず本人の目の前で言ってしまった。わざとだけどね。
そんな感じだったのにさ。
体育祭の夜の打ち上げで、私服着てきたわけ。
ワンピース、しかもめっちゃお嬢様感あるやつ。
しれっと髪もアイロンできれいなストレートにしてきて……あんた誰?ってみんななるわな。
そこから地獄だった。
みんなあいつの服褒めて、「やればできるじゃん、ほんとうはかわいいんじゃん!」って無駄に持ち上げて。
一方あいつはというと、まんざらでもない顔してるの。
何この時間、ってあたしはスマホで自撮りしてSNSに投稿していた。
いい感じの壁があったから。
他の高校に行った子達に見せよう。
中学時代の友達が一番良かった。
その日あたしが着ていったのは、ちょっと奮発して買ったブランドのセットアップ。
髪も苦手なヘアアレンジを一時間かけて仕上げた。
絶対に誰よりも可愛いって思って打ち上げ来たのに、誰もあたしのこと褒めてくれないんだもん。
あんなワンピース絶対ブランドじゃないじゃん。
あいつじゃない子が着てたって誰も注目しないし。
いらついて目をそらせた先には、地味な子の塊があるだけだった。
地味だけど、楽しそうに推しの話をしているっぽい。
あたしの居場所はどこにもなかった。
だから腹立ち紛れにあいつのそばに寄って、訊いてみた。
「そのワンピかわいい。どこで買ったの?」
今年度入って最初の会話だったが、あの子は何食わぬ顔で答えた。
「山間の病院の近くにある、福を売るお店だよ――」
うっとうしい。
視界から消えてほしいんですけど。
あー、またいらいらしたら甘い物ほしくなるじゃん。うざ。
ニキビできたらやだ。
でも食べちゃう。
#愚痴垢 #毒吐きます
九月の三週目。体育祭の打ち上げがあった。
もうそこから腹が立って仕方がない。吐きそう。
あの暗い地味な子。
高校生にもなって化粧どころかスキンケアもしてない上に髪もボサボサの女っ気ゼロの同級生。
あたしたちとは住んでる世界が違うっていうか、低レベルすぎるっていうか?
交わらない世界。
名字の一文字目が一緒だから、基本座席前後で、しかもあいつがうちの一個前だから、授業中延々あいつのぐしゃぐしゃの後頭部見せつけられるわけ。
体育の後とか普通に臭い。まじでお前女子か?みたいな。
こっちは毎日少ないお小遣いでやりくりしてプチプラの韓国コスメ探して、隙あらば保湿、マッサージ、ストレッチってめちゃくちゃ努力してる。
先生に注意されないくらいにうっすら眉毛や涙袋掻いて、まつげカールさせて。
そういう努力ができない子なんだよね。
去年一度だけ私服見ることがあったんだけど、それがダサすぎて「おばさんじゃん」って思わず本人の目の前で言ってしまった。わざとだけどね。
そんな感じだったのにさ。
体育祭の夜の打ち上げで、私服着てきたわけ。
ワンピース、しかもめっちゃお嬢様感あるやつ。
しれっと髪もアイロンできれいなストレートにしてきて……あんた誰?ってみんななるわな。
そこから地獄だった。
みんなあいつの服褒めて、「やればできるじゃん、ほんとうはかわいいんじゃん!」って無駄に持ち上げて。
一方あいつはというと、まんざらでもない顔してるの。
何この時間、ってあたしはスマホで自撮りしてSNSに投稿していた。
いい感じの壁があったから。
他の高校に行った子達に見せよう。
中学時代の友達が一番良かった。
その日あたしが着ていったのは、ちょっと奮発して買ったブランドのセットアップ。
髪も苦手なヘアアレンジを一時間かけて仕上げた。
絶対に誰よりも可愛いって思って打ち上げ来たのに、誰もあたしのこと褒めてくれないんだもん。
あんなワンピース絶対ブランドじゃないじゃん。
あいつじゃない子が着てたって誰も注目しないし。
いらついて目をそらせた先には、地味な子の塊があるだけだった。
地味だけど、楽しそうに推しの話をしているっぽい。
あたしの居場所はどこにもなかった。
だから腹立ち紛れにあいつのそばに寄って、訊いてみた。
「そのワンピかわいい。どこで買ったの?」
今年度入って最初の会話だったが、あの子は何食わぬ顔で答えた。
「山間の病院の近くにある、福を売るお店だよ――」