「妖たちが使用人ではやりにくいか?」
「い、いえ、そんなことは……。みんなよく働いてくれるし本当に助かっていますでも……」
「なんだ」
「私は妖達とそういう関係でいるのは嫌なのです。使ったり使われたり、そういう上下関係は好きではありません」

笑いませんか? と上目遣いにして宙はおずおずと続けた。

「私は妖と友達でいたいのです」
「ぷ」

黒燁は笑った。

「もう……! 笑わらないと言ったのに」
「すまぬ……お前らしくいい、と思ってな。くくく」
「いつまで笑うのですか、もう」
「そう怒るな。膨れた顔が余計に可愛くて、笑いを抑えることができない」
「黒燁様は意地悪ですね!」

ますます顔を赤くさせる宙を、黒燁はぎゅうと抱きしめた。

「機嫌を直せ。嬉しかったのだ。何も変わらないな、と思って」

(変わらない? それは一千年前の私と、ということだろうか)

きゅっと胸が痛んだ。