突然、武水が鬼と宙の間に塞がるように割り込み、霊力を放った。
強力な波動だった。
さすがの鬼も圧されて吹き飛ぶが、すぐに同様の波動で受け止めて武水と向き合う。

物凄い力と力の攻防だった。

最強の妖とされる鬼と、武水がこれほど対等に渡り合えるとは――宙は驚くばかりだった。

(使役霊の能力を利用していないのに、どうして……)

と、武水の横顔を見つめ、あっとなった。

(頬に……鱗……?)

「……見るな」

驚愕する宙に、武水が吐き捨てるように言った。

「あなたはいったい……」

宙に振り返った武水を目の当たりにして、思わず後退った。
その目は人間の目をしていなかった。
ギラリと光る金の瞳は、まるで龍そのものだった。

「今度こそ離さない。君は私のものだ」
「何を言って――っつ!!」

突然、腕に痛みが走った。
武水から貰った腕飾りが、まるで蛇のように手首を締め付けたのだ。