「どうして戻ってきた……!? あんなに家から出るなと言ったはず」
「そんなことできないよ! だって、こんなことになってしまったのは、私のせいなんだもの……!」

境内に倒れている能力者や妖を見つめ、宙は武水を真っ直ぐに見つめた。

「足手まといになるのはわかってる。でも、理由はわからないけれど、これがあれば、どうにかなるかもと思って」

そう言って宙が差し出した指輪を見るなり、武水の顔が今まで見たことがないくらいに苦しげに歪んだ。

どうしたんだろう、と宙が訝しんだその時、鬼の笑い声がした。

「やはり言った通りだろう、武水。運命は俺を選んだんだ」

そう言いながら、鬼は宙に歩み寄って行った。

恐怖に足が竦みそうになりながらも、宙は鬼を睨み据えた。

だが。

すぐに不思議な感覚――懐かしいような、恋しいような、今まで体験したことのない感情に見舞われる。

(ああ、やっぱり私、知ってる……)