武水は忌々しげに眉根を寄せた。
「気付いていただろう? お前が抑えていたあいつの霊力が加速度的に増していくのを。今回の鬼鎮祭で俺の封印を強めるのと同時にあいつへの抑制も強めようと目論んでいたらしいが――とんだ勘違い女のせいでご破算になった。お生憎様だったな」
武水は吐き捨てるように返した。
「白々しいことを言うな。全て最初からお前の筋書き通りだったのだろう? 彼女に呼びかけ封印を解かせ、使役されることで霊力を蓄えこの天災を起こし、彼女に罪悪感を与え、それをばねにさせて彼女自ら抑制を破るように仕向けた。どこまでも狡猾な奴だ」
笑っただけの鬼に、武水は冷笑を向けた。
「だが残念だったな。彼女はここにはいない。そしてお前が私に封印されてしまえば、その筋書きも水泡に帰す」
「今はな。来るさ。あいつは」
「何だと?」
「言っただろう? 運命がそう決めていると」
あっさりと言ってのける鬼に、武水は怒りを滲ませた。
「……ふざけるな。鬼と人間が結ばれるなど……八百万の神誰一人として認めてはいない」
「神の許可なんぞいるものか。どんなにお前が邪魔しようが、あいつは俺のものだ」
鬼は武水を睨み据えた。
両者の間で霊気が震えた。
「武水くん!」
不意に、声が響いた。
どちらが先に開戦の一撃を繰り出してもおかしくない緊張を破ったその声は、宙の声だった。
「気付いていただろう? お前が抑えていたあいつの霊力が加速度的に増していくのを。今回の鬼鎮祭で俺の封印を強めるのと同時にあいつへの抑制も強めようと目論んでいたらしいが――とんだ勘違い女のせいでご破算になった。お生憎様だったな」
武水は吐き捨てるように返した。
「白々しいことを言うな。全て最初からお前の筋書き通りだったのだろう? 彼女に呼びかけ封印を解かせ、使役されることで霊力を蓄えこの天災を起こし、彼女に罪悪感を与え、それをばねにさせて彼女自ら抑制を破るように仕向けた。どこまでも狡猾な奴だ」
笑っただけの鬼に、武水は冷笑を向けた。
「だが残念だったな。彼女はここにはいない。そしてお前が私に封印されてしまえば、その筋書きも水泡に帰す」
「今はな。来るさ。あいつは」
「何だと?」
「言っただろう? 運命がそう決めていると」
あっさりと言ってのける鬼に、武水は怒りを滲ませた。
「……ふざけるな。鬼と人間が結ばれるなど……八百万の神誰一人として認めてはいない」
「神の許可なんぞいるものか。どんなにお前が邪魔しようが、あいつは俺のものだ」
鬼は武水を睨み据えた。
両者の間で霊気が震えた。
「武水くん!」
不意に、声が響いた。
どちらが先に開戦の一撃を繰り出してもおかしくない緊張を破ったその声は、宙の声だった。