「あーあ、大事な戦力を削っていいのかよ?」

揶揄して笑う鬼を、武水は睨み据えた。

「黙れ物の怪。二度と姑息な真似ができぬよう、今度こそ滅してやる」

高らかに言い放った武水の言葉に呼応し、能力者達が一斉に鬼に襲い掛かった。

戦いはあっという間に終わった。

鬼が全方位に放った霊力に、感電したかのように能力者や使役霊達は意識を失い、倒れてしまったのだ。

唯一立っていたのは、武水だけだった。

「嘆かわしいな。千年の間に、人間も妖もこれほどまでに軟弱になったとは。まさか、お前まで弱くなったとは言わないよな?」

冷ややかに鬼を見据えるだけの武水を鼻笑うと、鬼は感慨深げに吐息した。

「それにしても長かった。開闢の時以来、たかが一千年がこれほど長く感じたことはなかった。お前だって解かるだろう?」
「あまり喜ぶな。どうせすぐに封じられるのだから」
「そうはいかない。俺は今度こそあいつを結ばれるために舞い戻ってきたのだからな」