そこには、小さな指輪があった。

金でできていて、勾玉のような飾りが埋め込まれている。

長い間、土の中に埋まっていた指輪。
手にすると、温かい感情が胸を満たすような気がした。
愛おしいような、切ないような、誰かを想う感情が――。

「すごく高価そう! でもなんでこんなところに埋まっていたんだろうね?」
「うちは一千年前から続いている旧家でこの土地にもずっと住み続けていたからなぁ」

ふいに、催眠から解けたようにはっとなった。

「いけない! 学校に遅れちゃう」

制服のポケットに指輪をしまうと、慌てて家に戻り、準備を済ませた。

そして、父と母の遺影に手を合わせて学校へ向かった。