「宙ちゃん、大丈夫だよ。武水様はものすごい霊力を持っているんでしょ? さっきの使役霊も強そうだったし、それに大勢の陰陽師だって……」
「悔しいよ」
宙は俯いたままポロポロと涙を零した。
「どうして私には霊力がないの? どうして霊力がないのに、封印が解けてしまったの?」
「宙ちゃん……」
「なんで、どうして……。私にも、力があればいいのに……!」
どきん。
不意に胸が震えた。
まるで、何かに呼ばれたかのように。
宙はおもむろに家の中に入って行った。
吸い寄せられるように向かったのは、鬼のことですっかり忘れて置きっぱなしにしてあった、あの指輪だった。
導かれるように手に取る。
瞬間、脳裏に映像が浮かんだ。
鬼がいた。
あの鬼だ。
恐ろしくて、美しくて、そしてどこか――懐かしい――。
鬼は跪き、そして言った。
俺はいつまでも、お前と共に在る。
宙は鬼に向かって手を伸ばしていた。
その指には、この指輪があった――。
鬼は恭しくその指を手に取り、唇を寄せ――。
「悔しいよ」
宙は俯いたままポロポロと涙を零した。
「どうして私には霊力がないの? どうして霊力がないのに、封印が解けてしまったの?」
「宙ちゃん……」
「なんで、どうして……。私にも、力があればいいのに……!」
どきん。
不意に胸が震えた。
まるで、何かに呼ばれたかのように。
宙はおもむろに家の中に入って行った。
吸い寄せられるように向かったのは、鬼のことですっかり忘れて置きっぱなしにしてあった、あの指輪だった。
導かれるように手に取る。
瞬間、脳裏に映像が浮かんだ。
鬼がいた。
あの鬼だ。
恐ろしくて、美しくて、そしてどこか――懐かしい――。
鬼は跪き、そして言った。
俺はいつまでも、お前と共に在る。
宙は鬼に向かって手を伸ばしていた。
その指には、この指輪があった――。
鬼は恭しくその指を手に取り、唇を寄せ――。