「巫女にはもっと相応しい者がいるはずです。恐れながら、わたくしがその人物であることを証明するために、この天災を鎮めてみせましょう」
世璃瑠は高らかに宣言して、霊力を集中させた。
人々が固唾を飲んで見守る。
あとは残り半分のシナリオを進めるだけ。
世璃瑠は鬼に念じた。
(もういいわ。天候を元に戻しなさい)
あっという間に元の晴れ空に戻るのを見れば、誰も彼も、きっと武水ですらも世璃瑠の力に驚愕し、真に巫女に相応しいのはこの者だと賞賛するに違いない。
そんな妄想をし、にやけてしまうのを耐えて、世璃瑠は霊力を集中させる演技に集中した。
しかし。
天はその顔に、豪雨を打ち続けるだけだった。
(……何をしている、聞こえなかったの? もういいわ、嵐をやめなさい!)
天候は、戻るどころかもっとひどくなっていく。
風力が増し、雨粒はさらに大きくなる。
見守っていた人々の顔に失望の色が広がり、嘲りの騒めきが起こりだした。
(どうして!? こんなはずでは……! 聞こえているの、鬼! この化け物!)
突然、雨が雹となって降り注いできた。
人々は散り散りに逃げていく。
「ここにいては危険です! いったん下がった方が」
「おだまり!」
心配する妖狐に世璃瑠は甲高い声で怒鳴った。
その時、稲妻が走った。
強烈な音と共に、境内に立っていた松に炎が燃え上がった。
人々はついに悲鳴を上げて逃げ始めた。
その中を、世璃瑠だけが呆然と立ち尽くしていた。
世璃瑠は高らかに宣言して、霊力を集中させた。
人々が固唾を飲んで見守る。
あとは残り半分のシナリオを進めるだけ。
世璃瑠は鬼に念じた。
(もういいわ。天候を元に戻しなさい)
あっという間に元の晴れ空に戻るのを見れば、誰も彼も、きっと武水ですらも世璃瑠の力に驚愕し、真に巫女に相応しいのはこの者だと賞賛するに違いない。
そんな妄想をし、にやけてしまうのを耐えて、世璃瑠は霊力を集中させる演技に集中した。
しかし。
天はその顔に、豪雨を打ち続けるだけだった。
(……何をしている、聞こえなかったの? もういいわ、嵐をやめなさい!)
天候は、戻るどころかもっとひどくなっていく。
風力が増し、雨粒はさらに大きくなる。
見守っていた人々の顔に失望の色が広がり、嘲りの騒めきが起こりだした。
(どうして!? こんなはずでは……! 聞こえているの、鬼! この化け物!)
突然、雨が雹となって降り注いできた。
人々は散り散りに逃げていく。
「ここにいては危険です! いったん下がった方が」
「おだまり!」
心配する妖狐に世璃瑠は甲高い声で怒鳴った。
その時、稲妻が走った。
強烈な音と共に、境内に立っていた松に炎が燃え上がった。
人々はついに悲鳴を上げて逃げ始めた。
その中を、世璃瑠だけが呆然と立ち尽くしていた。