逃げまどう参列者を装いつつ、世璃瑠は望んでいた展開が目の前に広がるのを内心でほくそ笑んでいた。

断罪のターゲットの姿を確認した。
身の程をわきまえず、美しい巫女装束を纏った憎き宙。

このパニックが最高潮に達した今が、待ちに待った機会だ。

「どういうことですの?」

世璃瑠は甲高い声を張り上げた。
そして、縁側にいた宙に指をさし、食って掛かった。

「この惨事はお前のせいだわ、宙。白龍様がお怒りになったのよ!」

当惑した表情を見せる宙と騒ぎ立てる世璃瑠に、境内中から視線が集まる。

「お前のような霊力がない底辺が巫女などになるから、厳正なる儀式が損なわれたと白龍様の逆鱗に触れたのよ!」