今では天と地ほどの差になってしまったけれど、どういったわけか、幼い頃から武水は宙を気に入っていた。

宙の両親が武水の家に日雇いで働きに出ていたせいもあったかもしれない。
武水の両親は二人して忙しく、一人っ子だった武水は、いつも一人ぼっちだった。
両親について諏訪家を訪れていた宙もまた、両親の仕事が終わるのを一人で待っていたので、同い年同士仲良くなるのは必然と言えた。

けれども、家に帰ると両親はいつも宙に武水とは深くかかわってはいけない、と怒った。
自分と武水くんは『身分違い』だからなんだろう、と幼い宙は思った。
だから宙はなるべく武水と関わらないようにしていた。

けれども、武水の方が宙に関わることをやめなかった。
女の子のような愛らしい笑顔で遊ぼうよとせがまれれば、拒むことができなかった。
幼い宙にとっても、武水は身分が上という感覚があったので、邪険にはできなかったのだ。