「世璃瑠様、いったいいつまでこうしているおつもりですか?」
「もうちょっとよ。あのコソ泥が出てきたところを捕まえて、武水様へ突き出してやるんだから」

宙が蔵に入っている合間。
夕闇に身を潜めて、それを見張っている者がいた。

世璃瑠とその使役霊の妖狐だ。

鬼鎮祭の打合せと言っても、もとより大した内容のものではなかった。
あっという間に終了し、帰路についたところで掃除を終えた宙を見つけた。

いつもは郊外の山奥に向かって帰っていく宙。
今日は違う方向に歩いて行くのを見て興味が湧いた世璃瑠は、その後をつけていった。

そうしたら、生意気にも世璃瑠が恋慕う諏訪家に寄っていくではないか。
嫉妬を覚え歯噛みしていたら、宙が諏訪家の蔵に入っていくのを見た。
これは盗みを働くつもりだな、と決めつけ、とっちめる絶好の機会とこうして見張っていたのだ。