古びた箱に札が何枚も貼ってあって、不気味だった。
まるで邪悪なものが封印されているかのような、そんな禍々しい感じがした。

「あ……! 宙ちゃん、何を」

だが宙はその札を躊躇することなく破り取った。
まるで、やっと届いた小包を開けるような手つきだ。
雪は気が気ではないが、見守るしかなかった。

蓋を開けると、さらに木箱があった。
そして注連縄が張られている。

「なんかこれ、今朝見つけたのと――」

と雪が言うそばから、宙は注連縄を引き千切った。

その瞬間。

箱から光が放たれ、目をつぶった。

ゆっくりと目を開けると、男の人が立っていた。
狩衣のような和装で、背は高い。
瞳を閉じたその顔は、彫像のように整って綺麗だった。
空気に揺れる黒髪は、漆のように艶めいている。
そして、その間に見える銀の突起に目が行く。
左右対称に伸びるそれは……。

(角……?)