おずおずと門を通り玄関まで歩いて行くと、ガラッと横戸が開いて冷ややかな顔をした使用人が立っていた。
歓迎するという雰囲気は微塵も感じず、蔑むような感情がその顔には浮かんでいた。
毎度の対応だけれども、宙はつい申し訳ないような悲しい気持ちになる。

そこで待ってな、と言い捨て奥に下がると、しばらくして使用人は封筒を持って来て、立っている宙の前に投げ捨てた。

「ありがとうございます」

お礼を言って、すぐに封筒を拾う。

「さぁさ、要が済んだのならさっさと出て行きな」
「あ、あの」
「なんだい」、
「ご当主様は?」 

宙が口にした途端、使用人の顔が冷たく固まった。
けれども宙は、勇気を振りぼって続ける。