橋を渡り、しばらく歩いてたどり着いたのは、大きな屋敷だった。
その周りには、広大な中庭があった。
けれどもこれは、正しくは境内の一部だった。
ここは、この地域でもっとも歴史があり影響力のある神社の敷地で、これから訪れようとしているのは、この神社の神主の家だった。

宙は大きく息を吸って、インターホンを鳴らした。
すぐに応答があった。

「あ、あの、日河宙です」
「……どうぞ」