(だから、私は使役霊を持つのが嫌なんだ)

霊体だから感触はない。
けれども宙は、雪をぎゅうと抱きしめた。

「私は今のままで十分なんだ。だって嫌だもん、霊力で物の怪を支配して自分の思い通りに動く家来みたいに扱うなんて」

こちらがわからなくても、雪にはちゃんと感覚がある。
くすぐったがったり、怒ったり、悲しんだり――ちゃんと感情がある。
人間と同じなのだ。

「雪ちゃんは私の大切なお友達だもん。だから、こうして一緒にいてくれるだけで、私、すごく嬉しいよ」

雪も嬉しそうに喉を鳴らしたのだった。