雪と宙の出会いは、雪がまだ生きていた時に遡る。

生前、雪はとある老婆の飼い猫だった。
ある日、その老婆が突然死してしまい、食べる物に困った雪はすっかり衰弱してしまって、餓死寸前になった。

その時出会ったのが宙だった。

宙は雪を手厚く看護し救おうとしたが間に合わず、目の前で雪が亡くなっていく様を目の当たりにした。
悲しむ宙の前に、雪は今度は霊体として現れた。
それからずっと、成仏せずに宙と一緒にいるのだ。

「私、生きている間に宙ちゃんにとてもお世話になったから、恩返しがしたいんだ」
「恩返しだなんてそんな……。結局、私は雪ちゃんを救えなかったのに」

宙の手の中で冷たくなった雪。
何もできなかったことを宙は悔いて、泣いた。
そんな時、ぽんと現れたのが霊体となった雪だった。
空腹の苦しみから解放された雪は、明るくて元気いっぱいで、宙を次のご主人様と慕ってくれた。